106万円を超えたら必ず社会保険に入りますか?
必ずではありません。いわゆる106万円の壁は、短時間労働者が勤務先の社会保険に加入する要件のうち月額賃金8.8万円以上という部分を年額に換算した通称です。加入対象になるのは、週の所定労働時間20時間以上、月額賃金8.8万円以上、雇用期間の見込み2か月超、学生でない、厚生年金被保険者数51人以上の特定適用事業所(労使合意による任意特定適用事業所を含む)のすべてを満たす場合です。逆に、正社員等の4分の3以上働いている人は、この要件とは関係なく原則として被保険者になります。実際の該当可否は勤務先へ確認してください。
130万円未満なら必ず扶養に入れますか?
必ずではありません。年間収入の目安(原則130万円未満、60歳以上または一定の障害者は180万円未満、扶養認定日が令和7年10月1日以降で19歳以上23歳未満の配偶者以外の親族は150万円未満)は要件のひとつにすぎず、ほかに被保険者によって主として生計を維持されていること、続柄の要件、原則として日本国内に住所を有することなどの要件があります。また、勤務先の社会保険の加入要件を満たす場合は、収入が基準未満でも本人が被保険者になります。最終的な認定は加入先の健康保険が行います。
130万円は1月から12月の収入で判定しますか?
税金のように暦年の合計だけで判断するものではありません。健康保険の被扶養者認定では、認定を受ける時点からの年間収入見込みなどを用いるのが一般的です。日本年金機構は労働契約の内容による年間収入の取扱いについて通知を出しており、認定日が令和8年4月1日以降のものについては労働契約段階で見込まれる収入を用いるとされています。基準をわずかに上回っただけで、その年の初めまでさかのぼって一律に取り消される、という扱いになるわけではありません。具体的な判定方法は加入先の健康保険へ確認してください。
月によって収入が変わる場合はどうなりますか?
月ごとの変動がある場合の見方は保険者の取扱いによります。一般に、雇用契約上の所定労働時間・所定内賃金から見込まれる年間収入を基礎に判断し、恒常的に基準を超える状態になっているかどうかが確認されます。一時的な残業による増加については、事業主の証明を用いる仕組みが示されています。判断が難しいため、加入先の健康保険へ実情を伝えて確認してください。
交通費は扶養判定の収入に含まれますか?
健康保険の被扶養者認定では、通勤手当を収入に含めて判定するのが一般的です。所得税では一定額まで非課税であるため、税の考え方とずれる代表例といえます。一方、短時間労働者の加入要件で使う月額賃金8.8万円の判定では、通勤手当など算入しないものがあります。同じ「交通費」でも、どの判定に使うかで扱いが変わるため、加入先の健康保険と勤務先の双方へ確認してください。
残業で一時的に130万円を超えそうな場合は?
厚生労働省の「年収の壁・支援強化パッケージ」では、人手不足による残業などで一時的に収入が増えた場合について、事業主がその旨を証明することで引き続き扶養と認定され得る仕組みが示されています。ただし証明があれば必ず認定されるわけではなく、最終的な判断は保険者が行います。また、基本給の引上げや恒常的な勤務時間の増加は一時的な変動とは扱われない可能性があります。利用できる回数や期間、現在の取扱いは変更され得るため、勤務先と加入先の健康保険へ早めに相談してください。
失業給付を受けながら扶養に入れますか?
入れない期間が生じることがあります。雇用保険の基本手当は所得税では非課税ですが、健康保険の被扶養者認定では収入として扱われるのが一般的で、年額だけでなく基本手当日額を基準に判定されることがあります。日額が基準を上回る場合は、受給している期間だけ扶養から外れ、その間は国民健康保険・国民年金第1号に加入する、という流れになる場合があります。待期期間や給付制限期間中の扱いも保険者により異なり得るため、受給手続きの前に確認してください。
傷病手当金や出産手当金は収入に含まれますか?
含まれるものとして扱われるのが一般的です。これらは所得税では非課税ですが、健康保険の被扶養者認定では継続的な給付として収入に数えられることがあります。失業給付と同様に、金額や受給期間によって扶養の可否や時期が変わり得ます。具体的な取扱いは保険者によって異なる場合があるため、加入先の健康保険へ確認してください。
副業収入がある場合はどう計算しますか?
給与以外の事業・副業収入も扶養判定の対象になります。注意が必要なのは、税法上の必要経費と、健康保険の被扶養者認定で差し引ける経費が必ずしも同じではない点です。確定申告で経費として認められた額がそのまま扶養判定でも差し引けるとは限らず、保険者によって取扱いが異なります。複数の勤務先がある場合、勤務先の社会保険の加入要件はそれぞれの勤務先ごとに判定します。収入の内訳が分かる資料を用意して、加入先の健康保険へ確認してください。
学生は社会保険へ加入しなくてよいですか?
短時間労働者として加入するかどうかの要件では、一般的な昼間の学生は対象から除かれます。ただしこれは4分の3未満の短時間労働者についての話で、正社員等の4分の3以上の所定労働時間・所定労働日数で働いている場合は、学生であっても原則として被保険者になります。また、休学中の人、大学の夜間学部や高校の夜間・定時制課程の人、卒業見込証明書があり卒業前に就職して卒業後も同じ事業所で働く予定の人は、学生除外の対象になりません。当たるか分からない場合は勤務先へ確認してください。
19歳以上23歳未満なら150万円まで全員扶養に入れますか?
全員ではありません。150万円未満の基準が使えるのは、扶養認定日が令和7年10月1日以降で、認定を受ける人が19歳以上23歳未満の親族のうち、被保険者の配偶者を除く人です。配偶者は年齢にかかわらず原則130万円未満(60歳以上または一定の障害者は180万円未満)で判定します。年齢は扶養認定日が属する年の12月31日時点で判定します。また収入以外の要件も別に満たす必要があります。
別居している子どもや親も扶養に入れますか?
入れる場合があります。別居の場合は、被保険者からの仕送り額より認定を受ける人の年間収入が少ないことなどが求められ、仕送りの事実と金額が分かる書類が必要になります。手渡しでは証明しにくいため、振込記録が残る方法が求められることが一般的です。続柄によって同居が要件になる場合もあります。必要書類や認定方法は健康保険組合によって異なるため、加入先の健康保険へ確認してください。
税の扶養に入っていれば健康保険も扶養になりますか?
なりません。税の配偶者控除・扶養控除などと、健康保険の被扶養者は別の制度で、収入の範囲も判定期間も所管も異なります。税は原則としてその年の暦年の所得で判定し、健康保険は認定時点からの年間収入見込みなどで判定します。さらに、失業給付や傷病手当金のように税では非課税でも健康保険では収入に数えられるものがあります。どちらか一方に該当するからといって、もう一方も自動的に該当するとは考えないでください。
配偶者の扶養から外れたら国民年金の手続きも必要ですか?
必要になる場合があります。健康保険の被扶養者と国民年金第3号被保険者は別の制度ですが、配偶者の扶養から外れると第3号被保険者にも該当しなくなることが多く、勤務先の厚生年金に加入するか、国民年金第1号被保険者への切替え手続きが必要になります。届出を忘れると未納期間が生じ、将来の年金額に影響することがあります。健康保険の届出と年金の届出は分けて確認してください。
社会保険へ加入すると必ず手取りが減って損ですか?
一概には言えません。加入すると健康保険料・厚生年金保険料が給与から控除され、扶養中は本人負担がなかったぶん加入直後は手取りが下がることがあります。保険料は原則として労使折半です。一方で、納めた保険料は将来の厚生年金額に反映され、被保険者本人として傷病手当金や出産手当金の対象になり得ます。保険料額は健康保険料率、年齢、都道府県、加入している健康保険組合、標準報酬月額などで変わるため全国一律には示せません。手取りだけでなく、労働時間、今後の収入、保障、将来の年金を含めて判断してください。
勤務先の家族手当も同じ基準ですか?
同じとは限りません。配偶者手当・家族手当は会社独自の規程による制度で、公的な社会保険や税の基準とは別に支給条件が定められています。公的制度の基準とは異なる金額を条件にしている場合や、健康保険の被扶養者であることを条件にしている場合など、会社によって設計が違います。就業調整を考える前に、勤務先の就業規則や給与規程で支給条件を確認してください。
誰に確認すれば扶養に入れるか分かりますか?
確認先は内容によって分かれます。勤務先の社会保険に加入するかどうか(所定労働時間、月額賃金、企業規模など)は勤務先、または年金事務所へ。家族の健康保険の被扶養者になれるかどうか(収入の範囲、必要書類、認定時期)は、その家族が加入している健康保険(協会けんぽまたは健康保険組合)へ。税の扶養は国税庁の情報または税務署へ確認してください。このページのチェックリストで状況を整理してから相談すると、話が早く進みます。
60歳以上の親は180万円未満で判定しますか?
認定を受ける人が60歳以上であれば、年間収入180万円未満が目安です。公的年金(遺族年金・障害年金を含む)も収入に数えます。ただし収入の目安のほかに、同居なら被保険者の年間収入の原則2分の1未満、別居なら仕送り額より少ないことなど、生計維持関係の要件も確認されます。75歳の誕生日当日以後は後期高齢者医療制度の対象になり、被扶養者にはなりません。
75歳以上の親も扶養に入れますか?
年齢による切替日は75歳の誕生日当日です。誕生日当日以後は後期高齢者医療制度の対象となり、健康保険の被扶養者にはなりません。後期高齢者医療制度の被保険者になるため、年間収入や生計維持関係にかかわらず、健康保険の被扶養者にはなりません。75歳の誕生日当日から後期高齢者医療制度へ移ります。税の扶養(老人扶養親族など)は別の制度なので、税の扱いは国税庁の情報や税務署で確認してください。
19歳以上23歳未満の年齢はいつの時点で判定しますか?
扶養認定日当日の年齢ではなく、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定します。認定日時点で18歳でも、その年の12月31日までに19歳になる人は150万円未満の基準で判定され、その年の12月31日時点で23歳になる人は150万円未満の基準の対象外です。この基準は扶養認定日が令和7年10月1日以降のもので、被保険者の配偶者は除かれます。
同居の家族の収入が被保険者の半分以上だと扶養に入れませんか?
直ちに入れないわけではありません。同居の場合は被保険者の年間収入の2分の1未満が目安ですが、2分の1以上でも被保険者の年間収入を上回らない(同額を含む)場合は、その世帯の生計の状況を総合的に見て、被保険者が主として生計を維持していると認められれば被扶養者になる場合があります。被保険者の年間収入を上回る場合は目安を満たしません。判断は加入先の健康保険が行うため、収入の資料をそろえて相談してください。
給与の月額はいくらが目安ですか?
通常基準(年間収入130万円未満)の人は、給与月額108,333円以下が目安です。健康保険の扶養判定では通勤手当も含めて見るのが一般的です。この月額の目安は通常基準に対応するもので、60歳以上・障害者・19歳以上23歳未満の人の基準には使いません。月ごとの変動がある場合の見方は、加入先の健康保険へ確認してください。
失業給付の日額はいくらが目安ですか?
通常基準(年間収入130万円未満)の人は、雇用保険の基本手当日額3,611円以下が目安で、これを上回ると受給期間中は扶養に入れない扱いになることがあります。この日額の目安は通常基準に対応するもので、60歳以上・障害者・19歳以上23歳未満の人の基準には使いません。基本手当日額は雇用保険受給資格者証で確認できます(unemployment参照)。
海外に住んでいる家族も扶養に入れますか?
被扶養者は原則として日本国内に住所を有することが必要です。ただし、外国で留学する学生、外国に赴任する被保険者に同行する家族、就労以外の目的で一時的に海外へ渡航している人、被保険者の海外赴任中に身分関係が生じた人などは、例外として被扶養者になり得ます。例外に当たるかどうかと、在学証明書や査証の写しなどの必要書類は、加入先の健康保険へ確認してください。
扶養から外れたときの届出の期限はいつですか?
健康保険被扶養者(異動)届は、事実発生から5日以内に、被保険者が勤務先を経由して提出します。扶養から外れた家族が勤務先の社会保険に加入しない場合は、住所地の市区町村で国民健康保険の加入届と、20歳以上60歳未満なら国民年金第1号被保険者への種別変更届を、原則14日以内に行います。届出が遅れると保険料の遡り請求などにつながることがあります。
兄弟姉妹やおじ・おばも扶養に入れますか?
続柄によって同居の要否が変わります。配偶者・子・孫・兄弟姉妹・父母などの直系尊属は、同居していなくても被扶養者になり得ます(別居なら仕送りによる生計維持が必要)。おじ・おば、甥・姪、配偶者の父母や兄弟姉妹など、それ以外の三親等内の親族は、被保険者と同一の世帯で暮らしていることが必要です。いずれも収入基準と生計維持関係の要件も満たす必要があります。
2026年4月から判定方法は変わりましたか?
日本年金機構の通知により、認定日が令和8年4月1日以降のものについては、労働条件通知書などの労働契約の内容から見込まれる年間収入を用いて判定する取扱いが示されています(施行済み)。労働契約に明確な規定がなく見込みにくい時間外労働の賃金などは年間収入に含めないとされています。ただし、シフト制で所定労働時間が不明確な場合や、給与以外の収入がある場合などは従来どおりの方法で確認します。
障害がある家族はどの基準で判定しますか?
おおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害の状態にある人は、年齢にかかわらず年間収入180万円未満が目安です。被保険者の配偶者であってもこの基準が使われます。障害年金は所得税では非課税ですが、扶養判定では収入に数えます。障害の程度の確認方法や必要書類は、加入先の健康保険へ確認してください。
共働きの夫婦の子はどちらの扶養に入りますか?
夫婦がともに被用者保険に加入している場合は、原則として年間収入(過去・現在・将来の見込みなど)が多い方の被扶養者とします。夫婦の年間収入の差が、年間収入の多い方の1割以内の場合は、届出により主として生計を維持する人の被扶養者とすることができます。夫婦の一方が国民健康保険に加入している場合なども含め、具体的な扱いは加入先の健康保険へ確認してください。
勤務先の従業員数が少なくても社会保険に入ることはありますか?
あります。正社員等の4分の3以上の所定労働時間・所定労働日数で働いている場合は、勤務先の規模にかかわらず原則として被保険者になります。また4分の3未満でも、厚生年金の被保険者数51人未満の勤務先が労使合意により任意特定適用事業所になっていれば、短時間労働者の要件を満たすと加入対象になります。企業規模要件は今後段階的に縮小される予定です。
休学中や夜間学部の学生も社会保険に加入しますか?
加入する場合があります。短時間労働者の要件で除外されるのは一般的な昼間の学生で、休学中の人、大学の夜間学部や高校の夜間・定時制課程の人、卒業見込証明書があり卒業前に就職して卒業後も同じ事業所で働く予定の人は、学生除外の対象になりません。週20時間以上などほかの要件を満たせば勤務先の社会保険に加入します。区分が分からない場合は勤務先・年金事務所へ確認してください。
障害者手帳があれば180万円未満の基準になりますか?
手帳があるだけでは決まりません。60歳未満の人が180万円未満の基準を使えるのは、おおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害の状態にある場合です。障害年金を受けている、何らかの障害がある、というだけで自動的に適用されるわけではありません。該当するか分からない場合は、障害の程度が分かる書類をそろえて加入先の健康保険へ確認してください。
賃金要件が撤廃されたら月額8.8万円未満でも加入しますか?
撤廃後は、月額賃金が8.8万円未満であることを理由に対象外にはならず、週20時間以上・2か月超の雇用見込み・学生除外に当たらない・企業規模要件などのほかの要件を満たせば加入します。撤廃は2026年10月に予定されていますが、このサイトでは具体的な施行日を確認中です。判定時点で撤廃が施行済みか、勤務先・年金事務所で確認してください。
65歳から74歳でも後期高齢者医療制度の対象になることはありますか?
あります。65歳到達後から75歳の誕生日の前日までの人が、一定の障害の状態について後期高齢者医療広域連合の認定を受けた場合は、認定日から後期高齢者医療制度の被保険者になり、健康保険の被扶養者ではなくなります。この認定は、180万円未満の収入基準を使うための障害の条件とは別の判定です。障害者手帳や障害年金の有無だけでは決まらないため、住所地の市区町村の後期高齢者医療の窓口へ確認してください。
70歳以上で働いている場合、厚生年金はどうなりますか?
厚生年金保険の被保険者資格は、原則として70歳に到達したときに喪失します。その後も働き続ける人は通常の被保険者ではなく「70歳以上被用者」として別に扱われ、厚生年金保険料の負担はありませんが、在職老齢年金の仕組みの対象になる場合があります。健康保険は75歳の誕生日の前日まで加入が続く場合があり、健康保険と厚生年金の扱いは一致しません。勤務先・年金事務所へ確認してください。