年金 GUIDE

老齢年金の受給開始・在職老齢年金・税金

老齢年金は65歳から受け取るのが基本で、60〜64歳に早める「繰上げ」(減額)と、66歳以後に遅らせる「繰下げ」(増額)を選べます。減額率・増額の上限は生年月日で変わり、増減は生涯続きます。働きながら受け取ると、令和8年度は年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が月65万円を超えた分の2分の1だけ老齢厚生年金が止まります(在職老齢年金)。老齢年金は公的年金等に係る雑所得として課税され、障害年金・遺族年金は非課税です。どの年齢から受け取るのが一番よいかは一律に決まらないため、65歳時点の見込額、開始時期による増減、在職による停止、税・社会保険料の順に確認してから判断します。

全国共通申請必要対象年度:2026年時点最終確認日:2026.09.28

A. この制度をひとことで

  • 確認の順番:①65歳時点の見込額 → ②繰上げ・通常・繰下げの増減 → ③在職による停止 → ④年金・給与を所得に直す → ⑤所得控除 → ⑥所得税・住民税の概算 → ⑦申告が必要か → ⑧税・健康保険・介護保険料まで含めて判断
  • 65歳からの受給も自動では始まらず、年金請求書の提出が必要。令和8年度の老齢基礎年金の満額は月70,608円(昭和31年4月2日以後生まれ)
  • 繰上げは1か月0.4%減(昭和37年4月2日以後生まれ、最大24%)、昭和37年4月1日以前生まれは0.5%減(最大30%)。生涯続き、取り消せない
  • 繰下げは1か月0.7%増。昭和27年4月2日以後生まれは75歳まで(最大84%)、それ以前の生まれは70歳まで(最大42%)
  • 在職老齢年金の支給停止調整額は令和8年度 月650,000円。老齢基礎年金は停止されない
  • 老齢年金は雑所得(公的年金等控除あり)、障害年金・遺族年金は非課税。年金400万円以下・他の所得20万円以下なら確定申告不要制度の対象になり得るが、住民税の申告は別

B. 対象になる人

老齢年金を何歳から受け取るか(繰上げ・65歳・繰下げ)、働きながら受け取る場合の在職老齢年金、年金にかかる税金を順番に確認します。2026年度は年金額と在職老齢年金の基準額が改定されました。

増額されても、物価の伸びより低い改定率になるマクロ経済スライドの調整が入っています。繰上げ・繰下げの増減は生涯続き、何歳から受け取るのが一番よいかは税・保険料や働き方で変わるため、一律には決まりません。

所得制限・年齢制限
受給開始は60歳到達月から選べます(60〜64歳は繰上げ)。繰下げの上限は生年月日で75歳または70歳です。在職老齢年金は60歳以上で厚生年金の被保険者として働く人と、70歳以上被用者が対象です。所得による受給制限はありませんが、税・保険料は所得で変わります。

C. いくら関係するか

金額・計算方法
2026年度の老齢基礎年金の満額は月70,608円(昭和31年4月2日以後生まれ)。繰上げは1か月0.4%減(昭和37年4月1日以前生まれは0.5%)、繰下げは1か月0.7%増。在職老齢年金の支給停止調整額は月51万円→65万円。老齢年金は雑所得、障害年金・遺族年金は非課税

実際の金額は入力条件によって異なります。正確な金額は公式窓口で確認するか、下のシミュレーターで概算してください。

繰上げ・繰下げの増減を試す
繰上げ・65歳受給・繰下げの比較
区分開始時期増減注意
繰上げ60歳到達月〜65歳到達月の前月1か月0.4%または0.5%減生涯続く・取消不可・基礎と厚生は原則同時
65歳から(通常)65歳到達月の翌月分から増減なし年金請求書の提出が必要
66歳前の請求65歳到達月の翌月分にさかのぼる増減なし繰下げにはならない
繰下げ66歳到達月以後の申出1か月0.7%増上限は生年月日で75歳または70歳
繰上げの減額率:0.4%世代と0.5%世代
生年月日1か月の減額率60歳到達月に請求した場合
昭和37年4月2日以後0.4%24%減
昭和37年4月1日以前0.5%30%減

4月1日生まれは3月31日に60歳・65歳に達するため、到達月が3月になります。

繰下げの上限年齢
生年月日など上限最大の増額率
昭和27年4月2日以後生まれ75歳(120か月)84%
昭和27年4月1日以前生まれ、平成29年3月31日以前に受給権がある人70歳(60か月)42%
65歳より後に受給権が発生した人受給権発生から10年(120か月)または5年(60か月)84%または42%

繰下げ月数は受給権発生月から申出月の前月までで数えます。受給権発生から1年以内(通常は66歳到達前)に障害年金・遺族年金などの受給権がある人は繰下げできず、待機中に受給権が発生した人はその時点で増額率が固定されます(障害基礎年金だけの人の老齢厚生年金は例外。65歳に達する前に失権していれば影響なし。令和10年4月から遺族厚生年金の受給権者の一部は繰下げ可能になる予定)。共済組合等の老齢厚生年金がある人はすべて同時に繰下げます。

老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給開始
選び方繰上げ繰下げ
片方だけ原則できない(両方同時)できる(別々に選べる)
加算の扱い振替加算・加給年金は原則65歳から待機中は加給年金(厚生)・振替加算(基礎)を受け取れない
取消し請求後は取り消せない申出前なら65歳へのさかのぼり受給に切替え可
繰下げ増額の対象・対象外
項目繰下げで増えるか
老齢基礎年金増える
老齢厚生年金(在職で停止されない部分)増える
在職老齢年金で支給停止される部分増えない(繰下げ加算額に平均支給率を掛けて調整)
加給年金増えない(待機中は受け取れない)
振替加算増えない(待機中は受け取れない)
在職老齢年金の用語
用語意味
基本月額加給年金を除く老齢厚生年金(報酬比例部分)の年額÷12。老齢基礎年金は含まない
総報酬月額相当額標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12
支給停止調整額令和8年度は月650,000円(令和7年度は月510,000円)
停止されないもの老齢基礎年金、経過的加算額
在職老齢年金の計算
条件支給停止月額支給される老齢厚生年金
基本月額+総報酬月額相当額が65万円以下0円全額
65万円を超える(合計−65万円)÷2基本月額−支給停止月額
支給停止月額が基本月額以上基本月額の全額0円(加給年金も停止)

老齢基礎年金は停止されません。雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整は別の計算です。

課税される年金・非課税の年金
年金税金
老齢基礎年金・老齢厚生年金課税(公的年金等に係る雑所得)
共済年金・恩給、確定給付企業年金・企業型DC・iDeCoの年金形式の受取課税(公的年金等に係る雑所得、公的年金等控除の対象)
生命保険会社などの個人年金保険課税(公的年金等以外の雑所得。収入−払込保険料)
障害基礎年金・障害厚生年金非課税
遺族基礎年金・遺族厚生年金非課税
年金収入と雑所得(公的年金等控除、令和8年分)
12月31日の年齢公的年金等の収入金額公的年金等控除額
65歳未満130万円以下60万円
65歳以上330万円以下110万円
共通〜410万円以下収入×25%+27.5万円
共通〜770万円以下収入×15%+68.5万円
共通〜1,000万円以下収入×5%+145.5万円
共通1,000万円超195.5万円

公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円以下の場合です。1,000万円超2,000万円以下は10万円、2,000万円超は20万円少なくなります。雑所得=収入−控除額(0円未満は0円)。

給与収入と給与所得(令和8年分)
給与収入給与所得
740,999円以下0円
741,000円〜2,190,999円収入−740,000円
2,191,000円〜2,192,999円1,451,000円
2,193,000円〜2,195,999円1,453,000円
2,196,000円〜2,199,999円1,456,000円
2,200,000円〜3,599,999円B×2.8−80,000円(B=収入÷4の1,000円未満切捨て)
3,600,000円〜6,599,999円B×3.2−440,000円
6,600,000円〜8,499,999円収入×90%−1,100,000円
8,500,000円以上収入−1,950,000円

国税庁「合計所得金額の計算について(令和8年分)」の表のとおりで、給与所得控除の最低保障74万円(本則69万円+特例5万円)と、収入660万円未満の刻み(4,000円単位)を反映しています。このページのシミュレーターも同じ表で計算しています。給与と年金の両方がある人は、給与所得から所得金額調整控除(最大10万円)を差し引きます。

基礎控除(令和8年分)
合計所得金額基礎控除
489万円以下104万円
489万円超655万円以下67万円
655万円超2,350万円以下62万円
2,350万円超2,400万円以下48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円
2,500万円超0円

令和8年分・令和9年分の特例を含む所得税の基礎控除です。住民税の基礎控除は別の金額です。

所得税と住民税
項目所得税住民税
課税の対象その年の所得前年の所得(翌年度に課税)
税率5〜45%の累進+復興特別所得税2.1%所得割は標準10%+均等割・森林環境税
このページの計算令和8年分を概算全国共通の確定額は計算しない
年金からの天引き源泉徴収特別徴収(市区町村が決定)
確定申告・住民税申告
状況所得税住民税
年金400万円以下(全部源泉徴収対象)・ほかの所得20万円以下確定申告不要制度の対象ほかの所得があれば申告が必要な場合あり
年金400万円超、またはほかの所得20万円超不要制度の対象外。申告義務は所得控除後の税額・源泉徴収税額など一般のルールで確認(納める税金があれば申告義務あり)確定申告をすれば別の申告は原則不要
外国の年金など源泉徴収されない年金がある不要制度の対象外市区町村で確認
医療費控除などで税金が戻る還付申告をしないと戻らない申告内容が住民税にも反映
最終確認先
確認したいこと確認先
見込額・受給開始・繰上げ・繰下げ・加給年金年金事務所・街角の年金相談センター・ねんきんネット
在職老齢年金・標準報酬月額・標準賞与額勤務先・年金事務所
所得税・確定申告・還付申告税務署・国税庁の案内
住民税・住民税申告・特別徴収住所地の市区町村
国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料住所地の市区町村・加入している保険者
雇用保険の給付との調整ハローワーク・年金事務所
計算例

ケース1:65歳から通常どおり受け取る(1961年10月15日生まれ)

  1. 老齢基礎年金:通常の受給(65歳から、増減なし)(開始 2026-10、0か月、増減なし)→ 年額 800,000円
  2. 老齢厚生年金:通常の受給(65歳から、増減なし)(開始 2026-10、0か月、増減なし)→ 年額 1,000,000円
  3. 合計:年額 1,800,000円(月額の目安 150,000円)
  4. 65歳到達月の翌月分から支給。年金請求書の提出が必要で、自動では始まりません。

増減なし。年額 1,800,000円(月額の目安 150,000円)

65歳で受け取り始める人が、繰下げの申出をする必要はありません。

ケース2:昭和37年4月2日以後生まれが60歳到達月に繰上げ

  1. 60歳に達する日:2026-06-09(到達月 2026-06)
  2. 65歳に達する日:2031-06-09(到達月 2031-06)
  3. 繰上げ月数:65歳到達月 2031-06 − 請求月 2026-06 = 60か月
  4. 1か月あたりの減額率:0.4%(昭和37年4月2日以後生まれ)
  5. 減額率:60か月 × 0.4% = 24.0%
  6. 合計:年額 1,368,000円(月額の目安 114,000円)

減額率 24.0%(0.4%×60か月、最大)。年額 1,368,000円 が生涯続く

繰上げ請求後に取り消すことはできません。

ケース3:昭和37年4月1日生まれが60歳到達月に繰上げ

  1. 60歳に達する日:2022-03-31(到達月 2022-03)
  2. 65歳に達する日:2027-03-31(到達月 2027-03)
  3. 繰上げ月数:65歳到達月 2027-03 − 請求月 2022-03 = 60か月
  4. 1か月あたりの減額率:0.5%(昭和37年4月1日以前生まれ)
  5. 減額率:60か月 × 0.5% = 30.0%

減額率 30.0%(0.5%×60か月、最大30%)

昭和37年4月1日以前生まれは1か月0.5%です。4月1日生まれは3月31日に60歳・65歳に達するため、到達月も3月になります。

ケース4:64歳到達月から1年だけ繰上げ(1962年4月2日生まれ)

  1. 60歳に達する日:2022-04-01(到達月 2022-04)
  2. 65歳に達する日:2027-04-01(到達月 2027-04)
  3. 繰上げ月数:65歳到達月 2027-04 − 請求月 2026-04 = 12か月
  4. 1か月あたりの減額率:0.4%(昭和37年4月2日以後生まれ)
  5. 減額率:12か月 × 0.4% = 4.8%

繰上げ月数 12か月、減額率 4.8%

1年だけの繰上げでも、減額は生涯続きます。

ケース5:66歳到達月に繰下げを申し出る

  1. 65歳に達する日:2026-10-14(到達月 2026-10)
  2. 受給権発生月:2026-10(65歳到達月)
  3. 繰下げ月数:申出月 2027-10 − 受給権発生月 2026-10 = 12か月
  4. 増額率:12か月 × 0.7% = 8.4%

増額率 8.4%。年額 1,951,200円(65歳時点 1,800,000円)

66歳到達月より前の請求は繰下げにならず、増額もありません。

ケース6:70歳到達月に繰下げを申し出る

  1. 65歳に達する日:2026-10-14(到達月 2026-10)
  2. 受給権発生月:2026-10(65歳到達月)
  3. 繰下げ月数:申出月 2031-10 − 受給権発生月 2026-10 = 60か月
  4. 増額率:60か月 × 0.7% = 42.0%

増額率 42.0%。年額 2,556,000円(65歳時点 1,800,000円)

申出月の翌月分から、増額された年金を受け取ります。

ケース7:対象世代(昭和27年4月2日以後生まれ)が75歳まで繰下げ

  1. 65歳に達する日:2026-10-14(到達月 2026-10)
  2. 受給権発生月:2026-10(65歳到達月)
  3. 繰下げ月数:申出月 2036-10 − 受給権発生月 2026-10 = 120か月
  4. 増額率:120か月 × 0.7% = 84.0%

増額率 84.0%。年額 3,312,000円(65歳時点 1,800,000円)

84%増は年金額の増え方で、手取りが84%増えるわけではありません。

ケース8:昭和27年4月1日生まれは繰下げの上限が70歳

  1. 65歳に達する日:2017-03-31(到達月 2017-03)
  2. 受給権発生月:2017-03(65歳到達月)
  3. 繰下げ月数:申出月 2026-10 − 受給権発生月 2017-03 = 115か月
  4. 上限:受給権発生から60か月(5年)を超えた待機期間は増額されないため、60か月で計算
  5. 増額率:60か月 × 0.7% = 42.0%

上限 60か月、増額率は最大 42.0%(75歳・84%にはならない)

70歳を過ぎて待っても増額率は増えません。平成29年3月31日以前に受給権がある人も上限は70歳です。

ケース9:老齢基礎年金だけ70歳まで繰下げ、老齢厚生年金は65歳から

  1. 老齢基礎年金:繰下げ受給(開始 2031-10、60か月、+42.0%)→ 年額 1,136,000円
  2. 老齢厚生年金:通常の受給(65歳から、増減なし)(開始 2026-10、0か月、増減なし)→ 年額 1,000,000円
  3. 合計:年額 2,136,000円(月額の目安 178,000円)

65〜70歳は老齢厚生年金 1,000,000円 のみ、70歳以後は合計 2,136,000円

繰下げは基礎年金と厚生年金を別々に選べます(繰上げは原則同時)。

ケース10:老齢厚生年金だけ68歳まで繰下げ、老齢基礎年金は65歳から

  1. 老齢基礎年金:通常の受給(65歳から、増減なし)(開始 2026-10、0か月、増減なし)→ 年額 800,000円
  2. 老齢厚生年金:繰下げ受給(開始 2029-10、36か月、+25.2%)→ 年額 1,252,000円
  3. 合計:年額 2,052,000円(月額の目安 171,000円)

65〜68歳は老齢基礎年金 800,000円 のみ、68歳以後は合計 2,052,000円

厚生年金の繰下げ待機中は加給年金を受け取れません。加給年金の対象になる人はケース11も確認してください。

ケース11:加給年金の対象になる配偶者がいるため、繰下げを慎重に検討する

  1. 65歳に達する日:2026-10-14(到達月 2026-10)
  2. 受給権発生月:2026-10(65歳到達月)
  3. 繰下げ月数:申出月 2029-10 − 受給権発生月 2026-10 = 36か月
  4. 増額率:36か月 × 0.7% = 25.2%
  5. 老齢厚生年金の繰下げ待機中は、加給年金を受け取れません。
  6. 加給年金・振替加算は繰下げによる増額の対象外です。

老齢厚生年金の増額率は 25.2%。待機した期間の加給年金は受け取れず、あとから増えて戻ることもない

配偶者が年下で加給年金の対象になる人は、待つほど有利とは限りません。基礎年金だけ繰下げる方法もあります。

ケース12:在職老齢年金の合計が65万円ちょうど

  1. 基本月額:老齢厚生年金(報酬比例部分、加給年金を除く)1,200,000円 ÷ 12 = 100,000円
  2. 総報酬月額相当額:標準報酬月額 550,000円 + 直近1年の標準賞与額合計 0円 ÷ 12 = 550,000円
  3. 合計:650,000円
  4. 支給停止調整額 650,000円(2026年度)以下のため、支給停止はありません。
  5. 支給される老齢厚生年金(月額):100,000円 − 0円 = 100,000円
  6. 老齢基礎年金(月額):68,000円(在職老齢年金では停止されない)

合計 650,000円 は支給停止調整額以下のため全額支給(停止 0円)

ケース13:在職老齢年金の合計が65万円を1円超える

  1. 基本月額:老齢厚生年金(報酬比例部分、加給年金を除く)1,200,012円 ÷ 12 = 100,001円
  2. 総報酬月額相当額:標準報酬月額 550,000円 + 直近1年の標準賞与額合計 0円 ÷ 12 = 550,000円
  3. 合計:650,001円
  4. 支給停止調整額 650,000円(2026年度)を 1円 超えるため、支給停止月額 = 1円 ÷ 2 = 1円
  5. 支給される老齢厚生年金(月額):100,001円 − 1円 = 100,001円
  6. 老齢基礎年金(月額):68,000円(在職老齢年金では停止されない)

超過 1円の2分の1(0.5円)が支給停止。停止はわずかで、年金が大きく減るわけではない

1円でも超えると全部止まる仕組みではありません。超えた額の2分の1が停止されます。

ケース14:在職老齢年金(基本月額12万円・総報酬月額相当額60万円)

  1. 基本月額:老齢厚生年金(報酬比例部分、加給年金を除く)1,440,000円 ÷ 12 = 120,000円
  2. 総報酬月額相当額:標準報酬月額 500,000円 + 直近1年の標準賞与額合計 1,200,000円 ÷ 12 = 600,000円
  3. 合計:720,000円
  4. 支給停止調整額 650,000円(2026年度)を 70,000円 超えるため、支給停止月額 = 70,000円 ÷ 2 = 35,000円
  5. 支給される老齢厚生年金(月額):120,000円 − 35,000円 = 85,000円
  6. 老齢基礎年金(月額):68,000円(在職老齢年金では停止されない)

基本月額 120,000円、総報酬月額相当額 600,000円、合計 720,000円、基準超過 70,000円、支給停止月額 35,000円、支給される老齢厚生年金 月85,000円。老齢基礎年金は停止なし

65万円は給与月額だけの基準ではありません。年金の基本月額と、賞与を含む総報酬月額相当額の合計で判定します。

ケース15:支給停止額が基本月額以上になる

  1. 基本月額:老齢厚生年金(報酬比例部分、加給年金を除く)1,200,000円 ÷ 12 = 100,000円
  2. 総報酬月額相当額:標準報酬月額 650,000円 + 直近1年の標準賞与額合計 3,000,000円 ÷ 12 = 900,000円
  3. 合計:1,000,000円
  4. 支給停止調整額 650,000円(2026年度)を 350,000円 超えるため、支給停止月額 = 350,000円 ÷ 2 = 175,000円
  5. 支給される老齢厚生年金(月額):100,000円 − 175,000円 = 0円(全額停止)
  6. 老齢基礎年金(月額):68,000円(在職老齢年金では停止されない)

老齢厚生年金は全額停止(支給 0円)。老齢基礎年金 月68,000円 は支給される

止まるのは老齢厚生年金で、老齢基礎年金と経過的加算は停止されません。老齢厚生年金が全額停止のときは加給年金も停止されます。

ケース16:70歳以後も会社で働きながら受給する

  1. 基本月額:老齢厚生年金(報酬比例部分、加給年金を除く)1,800,000円 ÷ 12 = 150,000円
  2. 総報酬月額相当額:標準報酬月額 560,000円 + 直近1年の標準賞与額合計 0円 ÷ 12 = 560,000円
  3. 合計:710,000円
  4. 支給停止調整額 650,000円(2026年度)を 60,000円 超えるため、支給停止月額 = 60,000円 ÷ 2 = 30,000円
  5. 支給される老齢厚生年金(月額):150,000円 − 30,000円 = 120,000円
  6. 老齢基礎年金(月額):68,000円(在職老齢年金では停止されない)
  7. 70歳以後は厚生年金の被保険者ではなくなり、厚生年金保険料の負担はありません。
  8. ただし、70歳以上被用者として在職老齢年金の仕組みの対象になります。

支給停止 月30,000円、老齢厚生年金の支給 月120,000円

保険料の負担がなくなることと、在職老齢年金の対象から外れることは別です。

ケース17:65歳以上・年金収入200万円だけ(令和8年分)

  1. ③ 公的年金等の収入金額:2,000,000円
  2. ④ 公的年金等に係る雑所得:900,000円(公的年金等控除 1,100,000円、12月31日時点で65歳以上、公的年金等以外の合計所得金額 0円 で区分を判定)
  3. ⑤ 所得金額調整控除:0円(給与収入850万円超の分 0円+給与・年金の分 0円。給与所得から差し引く)
  4. ⑥ 合計所得金額:0円 − 0円 + 900,000円 = 900,000円
  5. ⑦ 基礎控除(令和8年分):1,040,000円
  6. ⑧ その他の所得控除:150,000円
  7. ⑨ 課税所得金額:0円(1,000円未満切捨て)
  8. ⑩ 所得税:税額控除前 0円 − 確認済みの税額控除 0円 = 税額控除後 0円(0円未満にしない)
  9. ⑪ 復興特別所得税:0円(税額控除後の所得税の2.1%、1円未満切捨て)。給与・年金部分の概算税額 0円(給与・公的年金等以外の所得がないことを確認済みのため、所得税・復興特別所得税の概算合計)

雑所得 900,000円、課税所得 0円、所得税+復興特別所得税 0円

税率がかかるのは、公的年金等控除と所得控除を引いた後の課税所得です。

ケース18:65歳未満で繰上げた年金120万円の公的年金等控除

  1. 62歳(12月31日時点):公的年金等控除 600,000円 → 雑所得 600,000円
  2. 参考・65歳以上なら:公的年金等控除 1,100,000円 → 雑所得 100,000円

65歳未満の公的年金等控除は最低60万円、65歳以上は最低110万円(公的年金等以外の合計所得金額1,000万円以下の場合)

年齢はその年の12月31日時点で判定します。1月1日生まれの人は前年の12月31日に年齢が加算されます。

ケース19:給与300万円と年金200万円があり、所得金額調整控除を使う66歳(令和8年分)

  1. ① 給与収入:3,000,000円
  2. ② 給与所得(所得金額調整控除前):2,020,000円(令和8年分の計算表による)
  3. ③ 公的年金等の収入金額:2,000,000円
  4. ④ 公的年金等に係る雑所得:900,000円(公的年金等控除 1,100,000円、12月31日時点で65歳以上、公的年金等以外の合計所得金額 1,920,000円 で区分を判定)
  5. ⑤ 所得金額調整控除:100,000円(給与収入850万円超の分 0円+給与・年金の分 100,000円。給与所得から差し引く。給与・年金の分は年末調整では適用されず、確定申告が必要)
  6. ⑥ 合計所得金額:2,020,000円 − 100,000円 + 900,000円 = 2,820,000円
  7. ⑦ 基礎控除(令和8年分):1,040,000円
  8. ⑧ その他の所得控除:300,000円
  9. ⑨ 課税所得金額:1,480,000円(1,000円未満切捨て)
  10. ⑩ 所得税:税額控除前 74,000円 − 確認済みの税額控除 0円 = 税額控除後 74,000円(0円未満にしない)
  11. ⑪ 復興特別所得税:1,554円(税額控除後の所得税の2.1%、1円未満切捨て)。給与・年金部分の概算税額 75,554円(給与・公的年金等以外の所得がないことを確認済みのため、所得税・復興特別所得税の概算合計)
  12. ⑫ 源泉徴収税額との差額:75,554円 − 60,000円 = 15,554円の納付見込み

所得金額調整控除 100,000円、所得税+復興特別所得税 75,554円(源泉徴収 60,000円との差額は納付見込み)

給与収入と年金収入はそのまま足さず、給与所得と雑所得をそれぞれ出してから合計します。

ケース20:障害年金・遺族年金は非課税(老齢年金150万円と遺族年金100万円)

  1. 障害年金・遺族年金 1,000,000円 は非課税のため、収入金額に含めていません。
  2. 公的年金等の収入金額:1,500,000円(12月31日時点で65歳以上、公的年金等以外の合計所得金額 1,000万円以下)
  3. 公的年金等控除額:1,100,000円
  4. 公的年金等に係る雑所得:1,500,000円 − 1,100,000円 = 400,000円

雑所得 400,000円。遺族年金は非課税のため収入金額に含めない

障害年金・遺族年金には所得税・住民税がかかりません。国民健康保険料などの計算での扱いは、各制度で確認してください。

ケース21:確定申告不要制度の400万円・20万円の境界

  1. 年金4,000,000円・ほかの所得0円:公的年金等の確定申告不要制度の対象になる見込み
  2. 年金4,000,001円・ほかの所得0円:確定申告不要制度は使えない。申告が必要かは一般のルールで確認
  3. 年金200万円・ほかの所得200,000円:所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告が必要になる場合がある
  4. 年金200万円・ほかの所得200,001円:確定申告不要制度は使えない。申告が必要かは一般のルールで確認

「400万円以下」「20万円以下」はどちらも境界の金額を含み、1円でも超えると不要制度の対象外

外国の年金など源泉徴収されない年金がある場合は、この制度の対象外です。

ケース22:所得税の申告は不要でも、住民税の申告を確認する(年金250万円・パートの給与所得15万円)

  1. 公的年金等の収入金額:2,500,000円(400万円以下か:はい)
  2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額:150,000円(20万円以下か:はい)
  3. 公的年金等の全部が源泉徴収の対象か:はい
  4. 所得税の確定申告は不要な見込みですが、公的年金等以外の所得(20万円以下)がある場合、住民税では申告が必要になる場合があります。

所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告が必要になる場合がある

住民税には「20万円以下なら申告不要」という扱いがありません。市区町村で確認してください。

ケース23:65歳5か月で請求する(66歳前)

  1. 65歳に達する日:2026-10-14(到達月 2026-10)
  2. 受給権発生月:2026-10(65歳到達月)
  3. 請求月 2027-03 は受給権発生から1年たっていないため、繰下げにはならず増額もありません。
  4. 受給権発生月の翌月分から、さかのぼってまとめて受け取る扱いになります(通常の受給)。

繰下げにはならず、増額なし。65歳到達月の翌月分からさかのぼって受け取る

ケース24:繰下げ待機中に、繰下げの申出をせずに請求する場合(68歳と71歳)

  1. 68歳(1961年10月15日生まれ、2029-10請求):本来の額(増額なし)で、さかのぼって受け取れるのは36か月分
  2. 71歳(1956年6月1日生まれ、2027-06請求):受給権発生:2021-05-31
  3. 71歳(1956年6月1日生まれ、2027-06請求):請求:2027-06
  4. 71歳(1956年6月1日生まれ、2027-06請求):受給権発生日から5年を経過した日後の請求のため、請求の5年前の日(2022-06)に繰下げの申出があったものとみなします(特例的な繰下げみなし増額制度)。
  5. 71歳(1956年6月1日生まれ、2027-06請求):増額率:(2022-06 − 2021-05)13か月 × 0.7% = 9.1%
  6. 71歳(1956年6月1日生まれ、2027-06請求):みなし申出日の翌月分から請求までの5年分を、増額された額で一括して受け取り、以後も増額された年金を受け取ります。

70歳到達前は増額なしでさかのぼり(36か月分)。70歳到達後80歳到達前の請求は、対象者なら請求の5年前に繰下げ申出があったものとみなされ、増額率 9.1% の年金5年分を一括で受け取る

80歳到達後の請求、昭和27年4月1日以前生まれで平成29年3月31日以前に受給権がある人、請求の5年前の日以前から障害年金・遺族年金などの受給権がある人は、みなし増額の対象外です。さかのぼって受け取ると、過去の年分の税・保険料が修正される場合があります。

ケース25:4月1日生まれと4月2日生まれで到達月と減額率が変わる

  1. 1962年4月1日生まれ:65歳到達月 2027-03、1か月 0.5%、2026-10請求で5か月 → 2.5%
  2. 1962年4月2日生まれ:65歳到達月 2027-04、1か月 0.4%、2026-10請求で6か月 → 2.4%

年齢は誕生日の前日に加算されるため、4月1日生まれは3月31日に到達します。1日違いで到達月と減額率の両方が変わります。

ケース26:65歳時点180万円を75歳まで繰下げた場合の所得税(令和8年分の税制で概算)

  1. 繰下げなし:年金 1,800,000円 → 所得税+復興特別所得税 0円
  2. 84%増:年金 3,312,000円 → 雑所得 2,209,000円、所得税+復興特別所得税 59,677円

年金額は84%増えても、税が増え、国民健康保険料・介護保険料・医療や介護の自己負担割合にも影響し得るため、手取りは84%増えない

社会保険料控除を0円とした概算です。保険料は市区町村ごとに異なります。

ケース27:受給資格期間を満たしたのが67歳(2028年4月)で、70歳到達月に繰下げを申し出る

  1. 65歳に達する日:2026-10-14(到達月 2026-10)
  2. 受給権発生月:2028-04(65歳より後に発生)
  3. 繰下げ月数:申出月 2031-10 − 受給権発生月 2028-04 = 42か月
  4. 増額率:42か月 × 0.7% = 29.4%

繰下げ月数は受給権発生月から数えて42か月、増額率 29.4%(65歳到達月から数えた60か月・42.0%ではない)

受給権が65歳より後に発生した人は、65歳到達月ではなく受給権発生月から繰下げ月数を数えます。受給権発生年月が分からない場合は、このページでは繰下げ月数を確定しません。

ケース28:受給権がいつ発生したか分からないまま繰下げを考える

  1. 65歳に達する日:2026-10-14(到達月 2026-10)
  2. 老齢年金の受給権が発生した年月が確認できていないため、65歳からと決めつけず、繰下げ月数を確定しません。

個別確認:65歳からと決めつけず、繰下げ後の年額を確定しない

受給資格期間(10年)を満たしたのが65歳より後の人は、受給権発生月が65歳到達月と異なります。ねんきん定期便・年金事務所で確認してください。

ケース29:障害年金・遺族年金の受給権と繰下げ(待機中に発生/66歳前に発生/不明)

  1. 待機中の2029-10に遺族年金の受給権:待機中の2029-10に他の年金の受給権が発生したため、その時点で繰下げの申出があったものとみなされ、増額率が固定されます。増額の月数は36か月で固定
  2. 66歳前の2027-03に遺族年金の受給権:他の年金の受給権(2027-03)が、老齢年金の受給権発生から1年を経過する日(2027-10-14)より前にあるため、繰下げの申出はできません。
  3. 受給権の有無が不明:障害年金・遺族年金など他の公的年金の受給権の有無が確認できていないため、繰下げの増額率を確定しません(受給権があると繰下げできない、または増額率が固定される場合があります)。

待機中に発生した場合は増額率 25.2% で固定(70歳まで待っても42%にならない)。66歳前に受給権がある場合は繰下げできない。不明なら個別確認

例外として、受給権が障害基礎年金(旧国民年金法の障害年金を含む)だけの人は、老齢厚生年金を繰下げられます。

ケース30:繰下げ待機60か月のうち30か月、在職老齢年金で老齢厚生年金の半分が停止された場合(70歳まで繰下げ)

  1. 月単位の支給率:停止のない30か月は1、半分停止の30か月は1−(停止額÷65歳時の老齢厚生年金月額)=0.5
  2. 平均支給率:(30×1+30×0.5)÷60か月 = 0.75
  3. 繰下げ加算額:1,000,000円 × 42.0% × 0.75 = 315,000円
  4. 繰下げ後の老齢厚生年金:1,315,000円(全額に42%を掛けた1,420,000円ではない)
  5. 待機中の就労・停止額が分からない場合:繰下げ後の老齢厚生年金は個別確認

老齢厚生年金 年額 1,315,000円。停止された部分に増額率を掛けると過大になる

平均支給率=月単位の支給率の合計÷繰下げ待機期間、月単位の支給率=1−在職支給停止額÷65歳時の老齢厚生年金額。年金事務所で確認する項目:繰下げ待機中に厚生年金に加入して働いた期間、その期間の月ごとの在職支給停止額(在職老齢年金で停止されたはずの額)、平均支給率(月単位の支給率の合計÷繰下げ待機期間)と、それを反映した繰下げ加算額

ケース31:パート給与90万円と年金260万円(67歳):所得金額調整控除は確定申告で適用

  1. ② 給与所得(所得金額調整控除前):160,000円(令和8年分の計算表による)
  2. ④ 公的年金等に係る雑所得:1,500,000円(公的年金等控除 1,100,000円、12月31日時点で65歳以上、公的年金等以外の合計所得金額 60,000円 で区分を判定)
  3. ⑤ 所得金額調整控除:100,000円(給与収入850万円超の分 0円+給与・年金の分 100,000円。給与所得から差し引く。給与・年金の分は年末調整では適用されず、確定申告が必要)
  4. 公的年金等の収入金額:2,600,000円(400万円以下か:はい)
  5. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額:60,000円(20万円以下か:はい)
  6. 公的年金等の全部が源泉徴収の対象か:はい
  7. 確定申告不要制度の条件は満たすため申告義務はありませんが、給与・年金の所得金額調整控除は年末調整では適用されないため、この控除を受けて還付を受けるには確定申告が必要です。

申告義務はないが、給与・年金の所得金額調整控除を受けて還付を受けるには確定申告が必要

給与と年金の両方がある場合の所得金額調整控除は、勤務先の年末調整では適用されません。申告義務がなくても、この控除で税金を戻すには確定申告が必要です。

ケース32:給与所得10,000,001円・年金200万円(66歳):1,000万円区分は調整控除後の給与所得で判定

  1. 給与所得(令和8年分の計算表):11,950,001円 − 1,950,000円 = 10,000,001円
  2. 給与収入850万円超の所得金額調整控除の要件(特別障害者・23歳未満の扶養親族等)に当たらないため0円。
  3. 給与+年金の所得金額調整控除:100,000円(年末調整では適用されず、確定申告で適用)
  4. 所得金額調整控除後の給与所得(公的年金等以外の合計所得金額の判定に使う):9,900,001円

調整控除後の給与所得 9,900,001円 は1,000万円以下の区分のため、公的年金等控除 1,100,000円、雑所得 900,000円

調整控除前の給与所得(10,000,001円)で判定すると控除が10万円少なくなり、雑所得が過大になります。

ケース33:給与収入950万円で23歳未満の扶養親族がいる人(給与収入850万円超の所得金額調整控除)

  1. 給与収入850万円超の所得金額調整控除:(9,500,000円 − 8,500,000円)× 10% = 100,000円
  2. 対象かどうか分からない場合:⑤ 所得金額調整控除:給与収入が850万円超で、特別障害者・23歳未満の扶養親族等の要件に当たるかが分からないため、確定税額を表示しません。

所得金額調整控除 100,000円(給与・年金の調整控除とは別に計算し、両方あれば合計)

対象は、本人が特別障害者、年齢23歳未満の扶養親族がいる、または特別障害者である同一生計配偶者・扶養親族がいる人です(一般の障害者は対象外)。この控除は年末調整でも適用できます。

ケース34:企業年金・個人年金保険・遺族年金を受け取っている人の区分

  1. 公的年金等(公的年金等控除の対象):国民年金・厚生年金の老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)/共済組合の退職年金・老齢年金、恩給(一時恩給を除く)/確定給付企業年金・企業型確定拠出年金(企業型DC)・iDeCoを年金形式で受け取るもの/厚生年金基金・国民年金基金などから受け取る年金
  2. 公的年金等以外の雑所得:生命保険会社・損害保険会社などの個人年金保険(公的年金等以外の雑所得。払込保険料を必要経費として差し引く)
  3. 非課税:障害基礎年金・障害厚生年金/遺族基礎年金・遺族厚生年金

税シミュレーターの「公的年金等の収入」に入れるのは公的年金等だけ。個人年金保険は公的年金等以外の所得、障害年金・遺族年金は入力しない

個人年金保険の雑所得は「公的年金等以外の所得」なので、確定申告不要制度の20万円や、公的年金等控除の1,000万円区分の判定にも含まれます。

ケース35:71歳でも、受給権発生(2025年6月)から5年たっていない請求は特例的な繰下げみなし増額にならない

  1. 受給権発生:2025-06
  2. 請求:2027-06
  3. 受給権発生日から5年を経過した日後の請求ではない(通常は70歳到達日以前)ため、特例的な繰下げみなし増額は適用されません。請求の5年前の日は受給権発生日以前になるため、繰下げ申出があったとみなす日にはなりません。
  4. 本来の額(増額なし)で、さかのぼって受け取れるのは24か月分
  5. 参考:受給権発生から5年を経過した後(2031-07)の請求:増額率:(2026-07 − 2025-06)13か月 × 0.7% = 9.1%

2027-06の請求は増額なしでさかのぼり(24か月分、時効なし)。請求の5年前(2022-06)は受給権発生前のため、みなし申出日にならない

みなし増額は、受給権発生日から5年を経過した日後(65歳で受給権が発生した人は70歳に達した日後)の請求だけが対象です。増額の月数・増額率がマイナスになることはありません。

ケース36:遺族年金の受給権を65歳前に失権していた人と、65歳以後も受給権がある人

  1. 65歳前(2020-03-31)に失権:増額率:60か月 × 0.7% = 42.0%
  2. 65歳以後も受給権がある:他の年金の受給権(2015-04-10)が、老齢年金の受給権発生から1年を経過する日(2027-10-14)より前にあるため、繰下げの申出はできません。

65歳前に失権していれば繰下げ可能(増額率 42.0%)。65歳以後も受給権が残っていれば繰下げできない

過去に遺族年金などの受給権を取得した事実だけでは、繰下げできないことにはなりません。失権日が65歳到達日と同じ月で日付が分からない場合は個別確認です。

ケース37:遺族厚生年金の受給権がある昭和39年生まれの人が、令和10年4月以後に繰下げを考える

  1. 現行(令和8年9月時点):66歳到達前に遺族厚生年金の受給権がある人は、老齢基礎年金・老齢厚生年金とも繰下げできません。
  2. 令和10年4月施行予定:令和10年3月31日時点で遺族厚生年金の受給権があり65歳未満(昭和38年4月2日以後生まれ)の人は、老齢基礎年金は遺族厚生年金の請求の有無にかかわらず、老齢厚生年金は遺族厚生年金を請求していない場合に限り、繰下げ請求できるようになります。
  3. 令和10年3月31日時点で遺族厚生年金の受給権があり65歳未満(昭和38年4月2日以後生まれ)で、申出が令和10年4月以後のため、令和10年4月施行の繰下げ緩和の対象になり得ます(老齢基礎年金は遺族厚生年金の請求の有無にかかわらず、老齢厚生年金は遺族厚生年金を請求していない場合に限り繰下げ可能)。このツールは施行前の制度で計算し、将来の制度を自動適用しないため個別確認とします。

施行前のため、このツールは将来の制度を自動適用せず個別確認にする

「遺族年金の受給権があれば将来も必ず繰下げできない」とは限りません。施行後の扱いは年金事務所で確認してください。

ケース38:共済組合等の老齢厚生年金をすでに受給している人が、後から日本年金機構の老齢厚生年金の受給権を得た場合

  1. 共済組合等の老齢厚生年金をすでに受給している人は、後から取得した日本年金機構の老齢厚生年金だけを繰下げることはできません。受給権発生時にさかのぼって請求します。
  2. 共済組合等の年金の状況が分からない場合:共済組合等の老齢厚生年金、厚生年金基金・企業年金連合会の年金があるかが確認できていないため、老齢厚生年金の繰下げ結果を確定しません(複数の実施機関の老齢厚生年金は同時に繰下げる必要があります)。

日本年金機構の老齢厚生年金だけを繰下げることはできず、特例的な繰下げみなし増額制度も適用されない

複数の実施機関(日本年金機構・共済組合等)の老齢厚生年金は、すべて同時に繰下げる必要があります。厚生年金基金・企業年金連合会の年金も合わせて繰下げになる場合があります。

ケース39:年金4,000,001円で不要制度の対象外だが、所得控除後の税額が0円の人

  1. 一般のルールの情報あり:申告不要制度 使えない/一般のルール 納める税金はない/申告義務 なし
  2. 一般のルールの情報なし:申告不要制度 使えない/一般のルール 計算情報が不足(所得控除後の課税所得・税額・源泉徴収税額で確認)/申告義務 未確定
  3. 外国の年金がある(情報なし):申告不要制度 使えない/申告義務 未確定

不要制度を使えないことと、申告義務があることは別。所得控除後に納める税金がなければ申告義務はない

申告義務の有無は、所得の合計から所得控除を差し引いた残額、税額控除、源泉徴収税額などを使う一般のルールで判断します。

ケース40:年金450万円・税額控除前の概算所得税があるが、住宅ローン控除などの税額控除を確認していない人

  1. 税額控除前の所得税:112,500円(参考:税額控除前の合計 114,862円)
  2. 税額控除が分からない:申告不要制度 使えない/申告義務 未確定
  3. 年末調整で適用済みの住宅借入金等特別控除150,000円を確認(給与・公的年金等以外の所得はないことも確認済み):税額控除後の所得税 0円、所得税・復興特別所得税の概算合計 0円/申告義務 なし

税額控除を確認するまで申告義務は未確定。確認済みの税額控除で税額が0円なら申告義務はない

復興特別所得税は税額控除を差し引いた後の所得税(基準所得税額)の2.1%です。1年目の住宅借入金等特別控除のように申告して初めて受けられる控除は、控除を受けるための申告として区別します。

ケース41:71歳で繰下げの申出をせずに請求:基礎年金はみなし増額、共済組合等の老齢厚生年金を受給済みの人の厚生年金は通常のさかのぼり

  1. 老齢基礎年金:増額率:(2022-06 − 2021-05)13か月 × 0.7% = 9.1%
  2. 老齢厚生年金:共済組合等の老齢厚生年金をすでに受給している人の日本年金機構の老齢厚生年金には、特例的な繰下げみなし増額制度は適用されません。

老齢基礎年金は増額率 9.1% で5年分一括、老齢厚生年金は増額なしで60か月分さかのぼり

基礎年金と厚生年金は、受給権の発生日、共済組合等の状況、障害基礎年金だけの例外などで結果が分かれることがあります。

計算例は考え方を示すための概算です。実際の金額は、適用される税率区分、復興特別所得税、住民税への影響、個別の事情によって変わります。

ほかの制度への影響
  • 雇用保険:65歳前の老齢年金は、基本手当や高年齢雇用継続給付と調整される場合があります。
  • 税・保険料:公的年金は原則雑所得となり、住民税、国民健康保険料、介護保険料などに影響します。

D. いつまでに何をするか

時期・期限の目安
2026年4月分から(年金額・支給停止調整額)。受給開始は60歳到達月から選択

この制度は、人によって期限の起点が異なる・一律の期限計算ルールがないため、期限の自動計算には対応していません。期限は上記の時期の目安と公式窓口で確認してください。

E. どこで申請するか

年金請求書を年金事務所・街角の年金相談センターへ提出。見込額はねんきんネットで確認

主な必要書類
  • 年金請求書(65歳の約3か月前に日本年金機構から届く。届かない場合や繰上げでは年金事務所で入手)
  • 基礎年金番号・マイナンバーが分かるもの
  • 本人名義の受取口座が分かるもの(通帳・キャッシュカード)
  • 戸籍謄本・住民票など(加給年金・振替加算の対象がいる場合、マイナンバーで省略できる場合がある)
  • 配偶者の所得が分かる書類(加給年金の生計維持の確認)
  • 雇用保険被保険者証・受給資格者証(65歳前に雇用保険の給付を受ける場合)
  • ねんきん定期便・ねんきんネットの見込額
  • 公的年金等の源泉徴収票・給与所得の源泉徴収票(確定申告・還付申告をする場合)
  • 扶養親族等申告書(年金から源泉徴収される人。毎年届く)
  • 医療費控除の明細書・社会保険料の支払が分かる書類(控除を申告する場合)

G. 知らないと損しやすい注意点

受給開始の判断は、決まった順番で確認する

①ねんきん定期便などで65歳時点の見込額(基礎年金・厚生年金を分けて)を確認する、②繰上げ・65歳・繰下げで年額がどう増減するかを見る、③働く場合は在職老齢年金で止まる額を見る、④年金と給与をそれぞれ所得に直す、⑤所得控除を引く、⑥所得税・住民税を概算する、⑦確定申告が必要かを確認する、⑧税・健康保険料・介護保険料まで含めて最終判断する、の順です。年金額の増減率だけで決めると、途中の停止や税・保険料を見落とします。

65歳からの受給も、年金請求書の提出が必要

65歳になれば自動的に振り込まれるわけではありません。受給開始年齢の約3か月前に届く年金請求書を提出して、はじめて支給が始まります。65歳から受け取る場合は増額も減額もありません。長期間請求しないままにしていると、5年の時効で受け取れなくなる分が出る場合があるため、心当たりがある人は年金事務所で確認してください。

繰下げは「65歳のときに申し込む」制度ではない

繰下げをしたい人は、65歳時点で年金請求書を出さずに待ち、66歳以後の受け取りたい時期に繰下げの申出をします。65歳の時点で繰下げを申し込む必要はありません。待機中に気が変わった場合は、繰下げの申出をせずに、さかのぼって受け取る方法も選べます。70歳到達前の請求なら増額なしで受給権発生時にさかのぼり、70歳到達後の請求では対象者に特例的な繰下げみなし増額が適用されます(別の節を参照)。

66歳到達月より前の請求は繰下げにならない

受給権が発生した月から1年たたないうちに請求した場合は、繰下げにはならず増額もありません。受給権発生月の翌月分から、さかのぼって本来の額を受け取る通常の受給として扱われます。通常は受給権発生月=65歳到達月なので、66歳到達月より前の請求がこれに当たります。

受給権が65歳より後に発生した人は、繰下げ月数を受給権発生月から数える

受給資格期間(10年)を満たしたのが65歳より後の人などは、老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権が65歳より後に発生します。この場合の繰下げ月数は、65歳到達月ではなく受給権発生月から申出月の前月までで数え、受給権発生から1年たった後でないと繰下げの申出はできません。上限も受給権発生から10年(昭和27年4月2日以後生まれ)または5年です。老齢基礎年金と老齢厚生年金で受給権の発生時期が異なる場合もあります。このページのシミュレーターは、受給権の発生時期が分からない場合、65歳からと決めつけずに繰下げ後の額を個別確認にします。

障害年金・遺族年金の受給権があると、繰下げできない・増額が止まる場合がある

老齢年金の受給権が発生してから1年以内(通常は66歳到達前)に障害年金・遺族年金などほかの公的年金の受給権がある人は、繰下げの申出ができません。65歳前に受給権を取得し、65歳以後も持っている人も同じです。ただし、65歳に達する前に失権していれば、過去に受給権を取得した事実だけでは繰下げできないことにはなりません。繰下げ待機中に受給権が発生した場合は、その時点で繰下げの申出があったものとみなされ、増額率はそこで固定されます。その後に申出を遅らせても増額率は増えません。例外として、受給権が障害基礎年金(旧国民年金法の障害年金を含む)だけの人は、老齢厚生年金を繰下げられます。受給権があるか分からない場合や、取得日・失権日が年月だけで結論が変わる場合、このページでは繰下げ後の額を確定せず個別確認にします。

令和10年4月から、遺族厚生年金の受給権者も繰下げできるようになる予定(施行前)

令和7年の年金制度改正により、令和10年(2028年)4月から、令和10年3月31日時点で遺族厚生年金の受給権があり65歳未満の人(昭和38年4月2日以後生まれ)は、老齢基礎年金は遺族厚生年金の請求の有無にかかわらず、老齢厚生年金は遺族厚生年金を請求していない場合に限り、繰下げ請求ができるようになる予定です。令和8年9月29日時点では施行前で、現行制度では66歳到達前に遺族厚生年金の受給権がある人は繰下げできません。「遺族年金の受給権があれば将来も必ず繰下げできない」わけではありません。このページのシミュレーターは施行前の制度で計算し、将来の制度を自動適用しないため、令和10年4月以後の申出で対象になり得る人は個別確認にします。

共済組合等の老齢厚生年金がある人は、すべて同時に繰下げる

日本年金機構と共済組合等の両方から老齢厚生年金を受け取れる人は、すべての老齢厚生年金について同時に繰下げの請求をする必要があります。厚生年金基金・企業年金連合会の年金も、あわせて繰下げになる場合があります。共済組合等の老齢厚生年金をすでに受給している人が、後から日本年金機構の老齢厚生年金の受給権を取得した場合は、日本年金機構の老齢厚生年金だけを繰下げることはできず、特例的な繰下げみなし増額制度も適用されません。このページのシミュレーターは、共済組合等の年金の状況が分からない場合、老齢厚生年金の繰下げ後の額を確定しません。

70歳以後にさかのぼって請求すると、特例的な繰下げみなし増額が適用される場合がある

繰下げ待機中の人が、繰下げの申出をせずに、70歳に達した日後(受給権発生日から起算して5年を経過した日後)80歳到達前に請求した場合は、請求の5年前の日に繰下げの申出があったものとみなして増額され、みなし申出日の翌月分から請求までの5年分を増額された額で一括して受け取ります(令和5年4月から)。対象は昭和27年4月2日以後生まれ、または平成29年4月1日以後に受給権が発生した人です。65歳より後に受給権が発生した人は、70歳ではなく受給権発生から5年を経過した日後の請求が対象で、それより前の請求では請求の5年前の日が受給権発生日以前になるため、みなし増額にはならず増額なしでさかのぼります(増額率がマイナスになることはありません)。80歳到達後の請求や、請求の5年前の日以前から障害年金・遺族年金などの受給権がある場合、共済組合等の老齢厚生年金をすでに受給している人の日本年金機構の老齢厚生年金は対象外で、本来の額でさかのぼりますが、5年より前の分は時効で受け取れません(65歳より後に受給権が発生し、受給権発生から長期間たってからの請求は年金事務所で確認してください)。他の年金の受給権が「請求の5年前の日」の前か後かは日付で判断し、日付が分からず同じ月になる場合はこのページでは個別確認にします。さかのぼって受け取った年金は過去の年分の所得になるため、過去の年分の所得税・住民税、国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料などが修正される場合があります。

年齢は誕生日の前日に加算される

年金の「60歳に達した日」「65歳に達した日」は誕生日の前日です。たとえば4月1日生まれの人は3月31日に65歳に達し、65歳到達月は3月です。4月2日生まれとは到達月が1か月ずれるため、繰上げ・繰下げの月数も変わります。このページの計算も、誕生日の前日を到達日として月数を数えています。

繰上げの減額率は生年月日で0.4%と0.5%に分かれる

昭和37年4月2日以後生まれは1か月0.4%(60歳到達月から請求すると最大24%)、昭和37年4月1日以前生まれは1か月0.5%(最大30%)の減額です。減額率は生年月日によって異なります。月数は、請求した月から65歳に達する日の前月までで数えます。

繰上げの減額は生涯続き、請求後は取り消せない

繰上げ請求をした後に取り消すことはできず、65歳になっても減額前の額には戻りません。繰上げが有利か不利かは一律に決まらず、健康状態、ほかの収入、働き方、家族の状況で判断が分かれます。

繰上げは基礎年金と厚生年金を原則として同時に行う

老齢基礎年金だけ、または老齢厚生年金だけを繰上げることは原則できません。両方を同時に請求し、両方が減額されます。繰下げは基礎年金と厚生年金を別々に選べるため、扱いが逆になっている点に注意してください。

繰上げると障害年金・寡婦年金などに影響する

繰上げ請求後は、事後重症などによる障害基礎年金を請求できなくなる場合があり、寡婦年金も受け取れません。国民年金の任意加入や保険料の追納もできなくなります。65歳までの間は遺族厚生年金などと併せて受け取れず、どちらかを選ぶことになります。持病がある人は特に、請求前に年金事務所で確認してください。

付加年金・振替加算・加給年金は繰上げでの扱いが異なる

付加年金は老齢基礎年金と一緒に繰上げられ、同じ率で減額されます。振替加算は繰上げても65歳からの支給で、減額されません。加給年金は繰上げても原則65歳からの加算です。どの加算が付くかは人によって異なるため、このページの計算には含めていません。

特別支給の老齢厚生年金を受け取れる世代は個別に確認する

生年月日によっては、65歳前から特別支給の老齢厚生年金を受け取れる場合があり、その場合の繰上げの扱いは一般の説明と異なります。このページでは特別支給の対象かどうかを自動で判定していません。ねんきん定期便や年金事務所で確認してください。

繰下げは1か月0.7%増。上限年齢は生年月日で75歳か70歳

昭和27年4月2日以後生まれは75歳まで繰下げでき、最大84%(0.7%×120か月)増えます。昭和27年4月1日以前生まれや、平成29年3月31日以前に受給権がある人は70歳(最大42%)が上限です。75歳まで繰下げられるかどうかは、生年月日などで決まります。上限を超えて待っても増額率は増えません。受給権が65歳より後に発生した人の上限は、年齢ではなく受給権発生から10年(120か月)または5年(60か月)で数えます。

繰下げは基礎年金と厚生年金を別々に選べる

老齢基礎年金だけを繰下げて老齢厚生年金は65歳から受け取る、またはその逆も選べます。家計の必要額や加給年金の有無に合わせて組み合わせを考えられます。

加給年金・振替加算は繰下げても増えない

加給年金と振替加算は繰下げによる増額の対象外です。さらに、老齢厚生年金の繰下げ待機中は加給年金を受け取れず、老齢基礎年金の繰下げ待機中は振替加算を受け取れません。受け取れなかった分があとで増えて戻ることもありません。年下の配偶者がいて加給年金の対象になる人は、待つほど有利とは限りません。

在職で止まる部分は繰下げても増えない(平均支給率)

繰下げ待機中に働いていて、在職老齢年金の仕組みで支給停止される部分は、繰下げによる増額の対象になりません。老齢厚生年金の繰下げ加算額は、65歳時の老齢厚生年金額×増額率に「平均支給率」を掛けて計算します。平均支給率=月単位の支給率の合計÷繰下げ待機期間、月単位の支給率=1−在職支給停止額÷65歳時の老齢厚生年金額(月額)です。たとえば60か月の待機のうち30か月だけ半分停止された場合、平均支給率は0.75です。1年分の停止額を差し引くだけの計算とは異なります。高い報酬で働きながら厚生年金を繰下げても、思ったほど増えない場合があります。

84%増は、手取りが84%増えるという意味ではない

繰下げで年金額が増えると、公的年金等に係る雑所得が増え、所得税・住民税が増えます。国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料や、医療・介護の自己負担割合にも影響する場合があります。年金額が84%増えても、手元に残る額は84%より少ない増え方になります。

繰上げと繰下げの取消し・変更のルールは同じではない

繰上げは請求後に取り消せません。繰下げは申出をするまでは待機中で、申出の前ならさかのぼって受け取る方法に切り替えられますが(70歳到達後は特例的な繰下げみなし増額の対象になる場合あり)、繰下げの申出をした後に増額率を選び直すことはできません。どちらも一度決めると変えにくい点は共通です。

在職老齢年金の支給停止調整額は令和8年度 月65万円

60歳以上で厚生年金の被保険者として働きながら老齢厚生年金を受け取る場合、基本月額と総報酬月額相当額の合計が支給停止調整額を超えると、超えた額の2分の1が老齢厚生年金から支給停止されます。令和8年度(2026年4月分から)の支給停止調整額は月650,000円で、令和7年度の月510,000円から引き上げられました。この額は年度ごとに改定され得ます。

基本月額は老齢基礎年金ではなく、老齢厚生年金の月額

在職老齢年金の「基本月額」は、加給年金を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の年額を12で割った額です。老齢基礎年金の月額ではありません。経過的加算額も基本月額に含めません。

65万円は給与月額だけの基準ではない

判定に使う「総報酬月額相当額」は、標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割った額を足したものです。賞与も計算に入ります。この総報酬月額相当額と年金の基本月額の合計を65万円と比べるため、給与月額だけが65万円以下でも停止される場合があります。

在職で止まるのは、超えた額の2分の1だけ

停止されるのは、合計が65万円を超えた額の2分の1だけです。合計が65万円以下なら停止はありません。停止額が基本月額以上になると老齢厚生年金は全額停止ですが、その場合でも老齢基礎年金と経過的加算額は停止されません。老齢厚生年金が全額停止になると加給年金も停止されます。

70歳以後も在職老齢年金の対象になり得る

70歳になると厚生年金の被保険者ではなくなり、厚生年金保険料の負担はなくなります。それでも会社で働き続ける「70歳以上被用者」は、在職老齢年金の仕組みの対象です。保険料の負担がないことと、在職による停止がないことは別の話です。

雇用保険の給付との調整は在職老齢年金とは別

65歳前に雇用保険の基本手当を受けると、特別支給の老齢厚生年金などが支給停止されます。高年齢雇用継続給付を受けると、在職老齢年金による停止に加えて、さらに年金の一部が停止される場合があります。これらは在職老齢年金とは別の仕組みで、このページの在職老齢年金の計算には含めていません。

老齢年金は公的年金等に係る雑所得。障害年金・遺族年金は非課税

老齢基礎年金・老齢厚生年金、共済年金、恩給、確定給付企業年金・企業型DC・iDeCoを年金形式で受け取るものなどは「公的年金等」として雑所得になり、公的年金等控除の対象です。企業年金でも、すべてが公的年金等になるわけではありません。生命保険会社などの個人年金保険は公的年金等ではなく、収入から払込保険料(必要経費)を引く別の雑所得です。障害年金・遺族年金は非課税で、所得税・住民税はかかりません。障害年金・遺族年金を雑所得に含めて計算しないでください。

税率がかかるのは、控除を引いた後の課税所得

年金収入から公的年金等控除を引いた額が雑所得です。さらに基礎控除や社会保険料控除などの所得控除を引いた課税所得に税率がかかります。公的年金等控除は、その年の12月31日時点で65歳以上か未満か、公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円以下・2,000万円以下・2,000万円超のどれかで変わります。給与所得がある人の「公的年金等以外の合計所得金額」は、所得金額調整控除を差し引いた後の給与所得で判定します。

給与と年金は、それぞれ所得に直してから合計する

給与収入と年金収入はそのまま足さず、給与収入から給与所得控除を引いた給与所得と、年金収入から公的年金等控除を引いた雑所得をそれぞれ求めてから合計します。両方がある人は、給与所得から所得金額調整控除(最大10万円)を差し引きます。これは公的年金等控除とは別の控除です。

給与・年金の所得金額調整控除は、年末調整では受けられず確定申告が必要

給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方がある人の所得金額調整控除は、勤務先の年末調整では適用されません。この控除を受けるには確定申告が必要です。公的年金等の確定申告不要制度の条件を満たして申告義務がない人でも、この控除で税金を戻すには確定申告をします。「申告しなければならない」と「控除を受けて還付を受けるために申告する」は別のことです。

給与収入850万円超の人には、別の所得金額調整控除がある

給与収入が850万円を超え、本人が特別障害者である、年齢23歳未満の扶養親族がいる、または特別障害者である同一生計配偶者・扶養親族がいる人は、(給与収入(1,000万円が上限)−850万円)×10%(最大15万円)の所得金額調整控除を受けられます。一般の障害者や23歳以上の扶養親族だけでは対象になりません。給与・年金の所得金額調整控除とは別の控除で、両方に当たる場合は合計して給与所得から差し引きます。こちらは年末調整でも適用できます。このページのシミュレーターは、該当するか分からない場合は税額を表示しません。

令和8年分は基礎控除と給与所得控除が変わっている

令和8年度の税制改正で、令和8年分の基礎控除は合計所得金額に応じて最大104万円(合計所得金額489万円以下)になり、給与所得控除の最低保障額は、給与収入220万円以下で74万円(本則69万円+令和8年分・令和9年分の特例5万円)になりました。前年までの数字(基礎控除58万円、給与所得控除の最低保障65万円など)で計算すると、結果が合いません。

源泉徴収された税額は最終的な税額ではない

年金や給与から源泉徴収された税額は、1年間の税額を仮に納めたものです。医療費控除や、扶養親族等申告書に書かなかった控除、ほかの所得があると、最終的な税額とずれます。年末調整だけで年金を含めた税額が確定するわけでもありません。

年金400万円以下でも、無条件に申告不要ではない

公的年金等の確定申告不要制度は、公的年金等の収入金額が400万円以下で、その全部が源泉徴収の対象となり、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合に使えます。外国の年金など源泉徴収されない年金がある人は対象外です。条件を満たしていても、税金が戻る場合は還付申告をしないと戻りません。

申告不要制度を使えないことと、申告義務があることは別

年金が400万円を超える、または年金以外の所得が20万円を超えると、公的年金等の確定申告不要制度は使えません。しかし、それだけで申告義務があるとは限りません。申告義務は、所得の合計から所得控除を差し引いた残額、税額控除、源泉徴収税額などを使う一般のルールで判断し、所得控除後に納める税金がなければ申告義務はありません(源泉徴収税額が多ければ還付申告ができます)。外国の年金がある人も、不要制度は使えませんが、申告義務は同じく一般のルールで確認します。このページのシミュレーターは「申告不要制度」「一般のルールによる確認」「申告義務」を分けて表示します。

「年金以外の所得20万円」は所得控除前の所得金額で判断する

確定申告不要制度の20万円は、「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額」で判断します。ここでいう所得は、収入そのものではなく、収入から必要経費などを差し引いた所得金額です。基礎控除・扶養控除・社会保険料控除などの所得控除を差し引いた後の課税所得ではありません。給与がある場合は、給与収入ではなく給与所得控除後の給与所得で数えます(給与と公的年金等の所得金額調整控除がある場合は、その適用後の給与所得)。障害年金・遺族年金などの非課税の所得は含めません。事業所得、不動産所得、一時所得(2分の1をした後)、個人年金保険の雑所得、総合課税を選ぶ配当所得などが該当する場合があります。上場株式等の配当・譲渡所得は、申告不要・総合課税・申告分離課税のどれを選ぶかで扱いが変わるため、このページのシミュレーターでは金額を判定しません。

申告の要否は4つに分けて考える(税額控除の確認が必要)

①公的年金等の確定申告不要制度を使えるか、②一般のルールで申告義務があるか、③控除や還付を受けるために申告するか、④情報が足りず未確定か、は別々の問いです。②の申告義務は、所得税額から配当控除や年末調整で適用済みの住宅借入金等特別控除などの税額控除を差し引いた後の税額で確認します。このページのシミュレーターは給与と公的年金等だけを計算し、住宅借入金等特別控除などの税額控除も計算しないため、税額控除を「ないことを確認済み」か確認済みの額で入力しない限り、税額控除後の税額と申告義務を確定せず「未確定」と表示します。配当所得は計算しないので、配当控除も入力の対象にしていません。給与・公的年金等以外の所得(所得控除前の所得金額。事業・不動産・一時所得、個人年金保険の雑所得、配当・株式等の所得など)が「ない」ことを確認できていない場合も、その所得を0円とは扱わず、確定申告不要制度・全所得を含む所得税と復興特別所得税・申告義務を「未確定」と表示します(給与・年金部分の所得税・復興特別所得税は参考値として表示します)。シミュレーターの税額は所得税と復興特別所得税だけで、住民税は含みません。1年目の住宅借入金等特別控除のように確定申告をして初めて適用を受ける控除は、②ではなく③(控除を受けるための申告)として扱います。復興特別所得税は、税額控除を差し引いた後の所得税(基準所得税額)の2.1%です。

所得税の申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合がある

公的年金等以外の所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な人でも、住民税ではその所得を申告する必要がある場合があります。所得税が不要だから住民税も不要、とは限りません。市区町村の案内で確認してください。

住民税は前年の所得で、翌年度に課税される

住民税は前年1年間の所得をもとに翌年度に課税されます。所得割(標準税率は10%)のほか、均等割や森林環境税があり、控除額も所得税と異なり、自治体によって扱いが違う部分もあるため、全国共通の確定額としては計算できません。年金からの天引き(特別徴収)が始まる時期も市区町村から通知されます。

健康保険料・介護保険料は市区町村・保険者ごとに異なる

国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料は、所得や年齢、住んでいる市区町村の料率で決まり、全国同じではありません。このページでは全国共通の保険料計算は行っていません。税引後の額と、保険料まで引いた最終的な手取りは別物です。

何歳から受け取るのが一番得かは、一律に決まらない

累計受給額が並ぶ年齢は単純な計算の目安で、寿命、働き方、他の収入、加給年金、税・保険料、家族の状況で結論が変わります。このページは特定の開始年齢をすすめるものではありません。最終的な判断は、年金事務所・街角の年金相談センターで見込額を確認したうえで行ってください。

受給開始を決める前に確認すること

  • ねんきん定期便・ねんきんネットで、65歳時点の老齢基礎年金と老齢厚生年金の見込額を分けて確認したか
  • 65歳からの受給も年金請求書の提出が必要なことを理解しているか
  • 自分の生年月日から、60歳・65歳・66歳に達する日(誕生日の前日)と到達月を確認したか
  • 昭和37年4月1日以前生まれか、4月2日以後生まれかで繰上げの減額率(0.5%/0.4%)を確認したか
  • 昭和27年4月1日以前生まれか、4月2日以後生まれかで繰下げの上限(70歳/75歳)を確認したか
  • 繰上げの減額は生涯続き、請求後は取り消せないことを理解しているか
  • 繰上げは基礎年金と厚生年金を原則同時に行うことを理解しているか
  • 繰上げ後に障害年金・寡婦年金を請求できなくなる場合があることを確認したか
  • 繰上げ後は国民年金の任意加入・追納ができなくなることを確認したか
  • 特別支給の老齢厚生年金の対象になる世代かを年金事務所で確認したか
  • 繰下げは65歳時点で申し込むものではなく、66歳以後に申し出ることを理解しているか
  • 66歳到達月より前に請求すると、繰下げにならないことを理解しているか
  • 基礎年金と厚生年金を別々に繰下げるかどうか検討したか
  • 加給年金・振替加算の対象かどうか、繰下げ待機中は受け取れないことを確認したか
  • 繰下げ待機中の生活費を、年金以外で用意できるか確認したか
  • 繰下げ待機中に「さかのぼって受け取る」方法もあり、70歳到達後の請求では特例的な繰下げみなし増額が適用される場合があることを知っているか
  • 受給権が65歳で発生したか、65歳より後に発生したか(繰下げ月数の起点)を確認したか
  • 障害年金・遺族年金など、ほかの公的年金の受給権がないか、いつ発生したかを確認したか
  • 繰下げ待機中に厚生年金に加入して働く場合、月ごとの在職支給停止額と平均支給率を年金事務所で確認したか
  • 障害年金・遺族年金の受給権を、65歳に達する前に失権したか、65歳以後も持っているかを確認したか
  • 遺族厚生年金の受給権がある場合、令和10年4月施行予定の改正の対象になるかを確認したか
  • 共済組合等の老齢厚生年金、厚生年金基金・企業年金連合会の年金があるか、すでに受給しているかを確認したか
  • 年金400万円超などで申告不要制度が使えない場合も、所得控除後の税額と源泉徴収税額で申告義務を確認したか
  • 住宅借入金等特別控除などの税額控除の有無と額を確認したか(確認していない場合は申告義務を確定させない)
  • 給与・公的年金等以外の所得(収入ではなく所得金額。所得控除前の金額で、給与は給与所得。事業・不動産・一時所得、個人年金保険の雑所得、総合課税を選ぶ配当所得など)があるか確認したか(ある場合は所得と控除の両方を含めて確定申告書等作成コーナー等で確認する)
  • 老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権の発生日を、それぞれ確認したか
  • 働きながら受け取る場合、標準報酬月額と直近1年の標準賞与額を勤務先で確認したか
  • 在職老齢年金の基本月額に老齢基礎年金を入れていないか確認したか
  • 令和8年度の支給停止調整額(月65万円)で計算しているか
  • 老齢基礎年金は在職で停止されないことを理解しているか
  • 70歳以後も働く場合、在職老齢年金の対象になり得ることを確認したか
  • 65歳前に雇用保険の基本手当・高年齢雇用継続給付を受ける予定があるか確認したか
  • 受け取る年金が、課税される老齢年金か、非課税の障害年金・遺族年金かを区別したか
  • 12月31日時点で65歳以上か未満かで、公的年金等控除が変わることを確認したか
  • 給与と年金を単純に合計せず、給与所得と雑所得をそれぞれ出したか
  • 給与と年金の両方がある場合、所得金額調整控除を確認したか
  • 給与・年金の所得金額調整控除は年末調整では適用されず、確定申告が必要なことを理解しているか
  • 給与収入850万円超の場合、特別障害者・23歳未満の扶養親族などの所得金額調整控除に当たるか確認したか
  • 受け取っている年金が公的年金等か、個人年金保険か、非課税の障害年金・遺族年金かを区別したか
  • 令和8年分の基礎控除・給与所得控除(前年と金額が異なる)で計算しているか
  • 扶養親族等申告書を提出したか(源泉徴収税額に影響する)
  • 公的年金等の収入が400万円以下・ほかの所得が20万円以下かを確認したか
  • 外国の年金など、源泉徴収されない年金がないか確認したか
  • 医療費控除などで還付申告をすると税金が戻るか確認したか
  • 所得税の申告が不要でも、住民税の申告が必要か市区町村で確認したか
  • 年金が増えたときの国民健康保険料・介護保険料・医療や介護の自己負担割合への影響を確認したか
  • 「何歳から受け取るのが一番得」と決めつけず、家計全体で比較したか

最終確認先は、年金額・受給開始・加給年金は年金事務所・街角の年金相談センター、在職老齢年金の標準報酬は勤務先、所得税・確定申告は税務署、住民税・国民健康保険料・介護保険料は住所地の市区町村です。

よくある質問

65歳になれば自動的に年金が振り込まれますか

振り込まれません。65歳になる約3か月前に届く年金請求書を提出して、はじめて支給が始まります。請求書が届かない場合は年金事務所に問い合わせてください。

繰上げ請求は取り消せますか

取り消せません。繰上げによる減額は生涯続き、65歳になっても元の額には戻りません。請求前に、減額率、障害年金・寡婦年金への影響、任意加入・追納ができなくなることを確認してください。

60歳から受け取ると何%減りますか

60歳に達した月に請求すると60か月の繰上げになり、昭和37年4月2日以後生まれは24%(0.4%×60か月)、昭和37年4月1日以前生まれは30%(0.5%×60か月)減ります。

0.4%と0.5%はどう分かれますか

生年月日で分かれます。昭和37年4月2日以後生まれは1か月0.4%、昭和37年4月1日以前生まれは1か月0.5%です。

基礎年金だけ繰上げできますか

原則できません。繰上げは老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に請求し、両方が減額されます。繰下げは別々に選べるので、扱いが異なります。

障害年金への影響はありますか

あります。繰上げ請求後は、事後重症などによる障害基礎年金を請求できなくなる場合があります。持病や治療中の病気がある人は、繰上げの前に年金事務所で確認してください。

繰下げは65歳のときに申し込むのですか

65歳のときに申し込む必要はありません。65歳時点で年金請求書を出さずに待ち、66歳以後の受け取りたい時期に繰下げの申出をします。66歳前に請求すると繰下げにならず、65歳にさかのぼった通常の受給になります。

70歳・75歳まで繰下げると何%増えますか

1か月0.7%増なので、70歳到達月の申出で42%、75歳到達月の申出で84%増えます。75歳まで繰下げられるのは昭和27年4月2日以後生まれで、それ以前の生まれは70歳(42%)が上限です。

基礎年金と厚生年金を別々に繰下げられますか

できます。老齢基礎年金だけ、または老齢厚生年金だけを繰下げ、もう一方は65歳から受け取ることもできます。

加給年金も84%増えますか

増えません。加給年金と振替加算は繰下げによる増額の対象外です。老齢厚生年金の繰下げ待機中は加給年金を受け取れず、その分があとで戻ることもありません。

働いていると年金は全部止まりますか

全部は止まりません。在職老齢年金で停止されるのは、基本月額と総報酬月額相当額の合計が令和8年度の支給停止調整額(月65万円)を超えた額の2分の1だけです。老齢基礎年金は停止されません。

在職老齢年金の65万円は給与だけですか

給与だけではありません。老齢厚生年金の基本月額と、標準報酬月額に直近1年の標準賞与額の12分の1を足した総報酬月額相当額の合計を65万円と比べます。

賞与も計算に入りますか

入ります。その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割った額が、総報酬月額相当額に含まれます。

老齢基礎年金も支給停止されますか

停止されません。在職老齢年金で停止されるのは老齢厚生年金(報酬比例部分)で、老齢基礎年金と経過的加算額は対象外です。基本月額にも老齢基礎年金は含めません。

70歳以後も在職老齢年金の対象ですか

対象になり得ます。70歳以後は厚生年金保険料の負担はなくなりますが、会社で働く70歳以上被用者には在職老齢年金の仕組みが適用されます。

年金には税金がかかりますか

老齢年金には所得税・住民税がかかります。公的年金等に係る雑所得として、公的年金等控除を引いた額が所得になります。

障害年金・遺族年金にも税金がかかりますか

かかりません。障害年金と遺族年金は非課税で、雑所得にも含めません。

年金収入全額が課税所得になりますか

なりません。年金収入から公的年金等控除を引いて雑所得を出し、さらに基礎控除・社会保険料控除などの所得控除を引いた課税所得に税率がかかります。

給与と年金は単純に合計すればよいですか

そのまま合計しません。給与収入からは給与所得控除、年金収入からは公的年金等控除をそれぞれ引いて所得を出し、両方がある場合は所得金額調整控除も引いてから合計します。

所得金額調整控除とは何ですか

給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方がある人が、給与所得から差し引く控除です。「給与所得(10万円まで)+年金の雑所得(10万円まで)−10万円」で計算し、最大10万円です。公的年金等控除とは別のものです。勤務先の年末調整では適用されないため、受けるには確定申告が必要です。給与収入850万円超で特別障害者や23歳未満の扶養親族がいる人の所得金額調整控除は、これとは別の控除です。

年金から源泉徴収されていれば申告不要ですか

源泉徴収されているだけでは決まりません。公的年金等の収入が400万円以下でその全部が源泉徴収の対象、かつほかの所得が20万円以下なら確定申告不要制度の対象です。源泉徴収された税額は最終的な税額ではなく、控除によっては還付申告で税金が戻ります。

年金400万円以下なら、必ず確定申告は不要ですか

必ずではありません。ほかの所得が20万円を超える場合や、外国の年金など源泉徴収されない年金がある場合は対象外です。条件を満たしても、還付を受けるには申告が必要です。

確定申告不要制度の「ほかの所得20万円」は、課税所得のことですか

課税所得ではありません。判断に使うのは「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額」で、収入から必要経費などを差し引いた所得金額です。基礎控除・社会保険料控除などの所得控除を差し引く前の金額で数えます。給与は給与収入ではなく給与所得控除後の給与所得、障害年金・遺族年金などの非課税の所得は含めません。

給与所得が20万円以下なら住民税申告も不要ですか

不要とは限りません。所得税の確定申告が不要でも、住民税ではその所得の申告が必要な場合があります。市区町村の案内で確認してください。

医療費控除で還付を受けられますか

受けられる場合があります。年金の源泉徴収には医療費控除が反映されないため、確定申告不要制度の対象の人でも、還付申告をすると税金が戻ることがあります。申告しなければ戻りません。

繰下げると税金や保険料も増えますか

増える場合があります。年金額が増えると雑所得が増え、所得税・住民税、国民健康保険料・介護保険料などが増えることがあり、医療や介護の自己負担割合が変わることもあります。84%増えても手取りが84%増えるわけではありません。

何歳から受け取るのが一番得ですか

一律には決まりません。累計受給額が並ぶ年齢は単純な計算の目安で、寿命、働き方、ほかの収入、加給年金、税・保険料で結論が変わります。このページは特定の年齢をすすめるものではありません。見込額を年金事務所で確認し、家計全体で比べてください。

4月1日生まれは何月に65歳になったと扱われますか

年齢は誕生日の前日に加算されるため、4月1日生まれは3月31日に65歳に達し、65歳到達月は3月です。繰上げの減額率も、昭和37年4月1日生まれは0.5%の世代に入ります。

66歳前に請求するとどうなりますか

繰下げにはならず、増額もありません。65歳に達した月の翌月分から、さかのぼって本来の額を受け取ります。

繰下げ待機中に、やはり65歳からの分を受け取りたくなったら?

繰下げの申出をせずに、さかのぼって受け取る方法を選べます。70歳到達前の請求なら、増額なしで受給権発生時にさかのぼって本来の額をまとめて受け取ります。70歳到達後80歳到達前の請求は、昭和27年4月2日以後生まれ(または平成29年4月1日以後に受給権発生)で、請求の5年前の日以前に障害年金・遺族年金などの受給権がない人なら、請求の5年前に繰下げ申出があったものとみなして増額され、その5年分を一括で受け取ります。対象外の場合は本来の額でさかのぼり、5年より前の分は時効で受け取れません。過去の年分の税・保険料が修正される場合もあります。

65歳より後に受給資格を満たした場合、繰下げ月数はいつから数えますか

受給権が発生した月から数えます。65歳到達月ではありません。受給権発生から1年たった後に申し出ると繰下げになり、上限は受給権発生から10年(昭和27年4月2日以後生まれ)または5年です。

遺族年金や障害年金を受けていても繰下げできますか

老齢年金の受給権発生から1年以内(通常は66歳到達前)に遺族年金・障害年金などの受給権がある人は繰下げできません。65歳に達する前に失権していれば繰下げできます。待機中に受給権が発生した場合は、その時点で増額率が固定されます。受給権が障害基礎年金だけの人は、老齢厚生年金を繰下げられます。令和10年4月からは、遺族厚生年金の受給権がある一定の人も繰下げできるようになる予定です(施行前)。

65歳前に遺族年金の受給権がなくなっていれば繰下げできますか

できます。65歳に達する前に遺族年金などの受給権を失権していれば、過去に受給権を取得した事実だけで繰下げできないことにはなりません。65歳以後も受給権が残っている場合は、繰下げできないか、増額率が固定される場合があります。

遺族厚生年金を受けている人は将来も繰下げできませんか

令和10年4月から、令和10年3月31日時点で遺族厚生年金の受給権があり65歳未満の人(昭和38年4月2日以後生まれ)は、老齢基礎年金は遺族厚生年金の請求の有無にかかわらず、老齢厚生年金は遺族厚生年金を請求していない場合に限り、繰下げ請求ができるようになる予定です。令和8年9月29日時点では施行前です。

共済組合の老齢厚生年金もある場合、日本年金機構の分だけ繰下げできますか

できません。複数の実施機関の老齢厚生年金は、すべて同時に繰下げる必要があります。共済組合等の老齢厚生年金をすでに受給している人が、後から日本年金機構の老齢厚生年金の受給権を取得した場合は、日本年金機構の分を繰下げることはできず、特例的な繰下げみなし増額制度も適用されません。

働きながら繰下げると、増額はどう計算されますか

繰下げ加算額に平均支給率を掛けます。平均支給率は、月単位の支給率(1−在職支給停止額÷65歳時の老齢厚生年金月額)の合計を繰下げ待機期間で割ったものです。停止額が分からない場合、このページでは繰下げ後の老齢厚生年金を確定しません。

年金が400万円を超えたら必ず確定申告が必要ですか

必要とは限りません。確定申告不要制度は使えなくなりますが、申告義務は所得控除後の税額や源泉徴収税額などの一般のルールで判断します。所得控除後に納める税金がなければ申告義務はありません。

給与と年金以外にも所得がある場合、シミュレーターで計算できますか

計算できません。このページのシミュレーターは給与と公的年金等だけを計算します。事業・不動産・一時所得、個人年金保険の雑所得、配当・株式等の所得がある場合や、あるかどうか確認していない場合は、その所得を0円として扱わず、給与・年金部分の所得税・復興特別所得税を参考値として表示するだけで、確定申告不要制度を使えるか・全所得を含む所得税と復興特別所得税・申告義務は確定しません。所得と控除の両方を含めて、国税庁の確定申告書等作成コーナーまたは税務署で確認してください。

住宅ローン控除がある場合、申告義務はどう判断しますか

制度としては、所得税額から、年末調整で適用済みの住宅借入金等特別控除や配当控除などの税額控除を差し引いた後の税額で判断します。このページのシミュレーターは給与と公的年金等だけを計算し、配当所得・配当控除は扱いません。また税額控除を計算しないため、税額控除を確認していない(分からない)場合は申告義務を「未確定」と表示し、断定しません。1年目の住宅借入金等特別控除のように確定申告をして初めて受けられる控除は、その控除を受けるための申告として別に扱います。

個人年金保険も公的年金等に入りますか

入りません。生命保険会社などの個人年金保険は、収入から払込保険料を引く「公的年金等以外の雑所得」です。公的年金等控除の対象ではなく、確定申告不要制度の「公的年金等以外の所得20万円」の判定に含まれます。

給与と年金がある人の所得金額調整控除は年末調整で受けられますか

受けられません。確定申告が必要です。公的年金等の確定申告不要制度の条件を満たして申告義務がない人でも、この控除で税金を戻すには確定申告をします。

在職老齢年金で止まった分は、あとで受け取れますか

受け取れません。支給停止された分は、あとから支払われることはなく、繰下げの増額の対象にもなりません。

令和8年分の基礎控除や給与所得控除は前年と同じですか

違います。令和8年分は基礎控除が合計所得金額に応じて最大104万円、給与所得控除の最低保障額が給与収入220万円以下で74万円です。前年の金額のままでは計算が合いません。

住民税はこのページで計算できますか

全国共通の確定額としては計算していません。住民税は前年の所得で翌年度に課税され、均等割・森林環境税や自治体ごとの違いがあるため、市区町村の案内で確認してください。

国民健康保険料や介護保険料はいくら増えますか

市区町村や加入している保険者によって計算方法と料率が異なるため、このページでは全国共通の計算をしていません。年金額を変えたときの保険料は、市区町村の窓口で試算を確認してください。

雇用保険の給付を受けると年金はどうなりますか

65歳前に基本手当を受けると特別支給の老齢厚生年金などが停止され、高年齢雇用継続給付を受けると年金の一部がさらに停止される場合があります。在職老齢年金とは別の調整です(unemployment・elderly-employment-benefit参照)。

日本年金機構|確認日 2026.09.28公式サイトで確認 ↗
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