例1:勤続10年2か月の退職所得控除額
- 勤続年数は10年2か月 → 1年未満の端数は原則1年に切り上げるため11年として扱う
- 勤続20年以下なので式は 40万円 × 勤続年数
- 40万円 × 11年 = 440万円
- 80万円を上回るため、最低保障(80万円)は適用されない
退職所得控除額:440万円
端数を切り捨ててしまうと10年=400万円となり、控除額を40万円小さく見積もることになります。入社日と退職日から勤続期間を正確に数えてください。
税金 GUIDE
退職金は給与などとは分けて計算され、勤続年数に応じた大きな退職所得控除があります。ただし「必ず半分だけ課税される」とは限らず、勤続5年以下の場合などには例外があります。iDeCo・企業型DCの一時金と重なる場合は、受け取る順序によって確認する期間が変わります。
退職金は給与とは別に計算され、勤続年数に応じた大きな控除があります。多くの場合、思ったより税金はかかりません。
「退職所得の受給に関する申告書」を出し忘れると、退職金の支給額に対して一律20.42%(所得税+復興特別所得税)が源泉徴収され、精算するには確定申告が必要になります。退職時にまとめて渡される書類の中にあるので、必ず提出してください。なお「退職金は必ず半分だけ課税される」とは限らず、役員等の勤続年数が5年以下の特定役員退職手当等、役員等以外で勤続5年以下の短期退職手当等には例外があります。
実際の金額は入力条件によって異なります。正確な金額は公式窓口で確認するか、下のシミュレーターで概算してください。
所得税・住民税を概算する退職所得控除額:440万円
端数を切り捨ててしまうと10年=400万円となり、控除額を40万円小さく見積もることになります。入社日と退職日から勤続期間を正確に数えてください。
課税退職所得金額:250万円(税額ではありません)
250万円は税率を掛ける前の課税対象額です。ここに所得税の累進税率と復興特別所得税がかかり、住民税は別に計算されます。納める税金が250万円という意味ではありません。
課税退職所得金額:0円(他の調整がない場合)
過去に受け取った退職金やDC一時金との勤続期間・加入期間の重複がある場合は、控除額が調整されて0円にならないことがあります。「勤続40年なら必ず2,200万円まで非課税」と考えないでください。
ケースAの課税退職所得金額は125万円、ケースBは350万円
控除後300万円までは2分の1課税が使えますが、それを超える部分には使えません。ケースBで単純に500万円×1/2=250万円と計算すると誤りです。短期退職手当等は令和4年1月1日以後に支払うべき退職手当等に適用されます。
課税退職所得金額:500万円(2分の1にしない)
同じ金額・同じ勤続年数でも、役員等かどうかで結果が変わります(例4ケースBの350万円に対し、こちらは500万円)。役員と従業員の期間が混在する場合はさらに個別の判定が必要なため、支払者または税務署へ確認してください。
確認する期間は受取順序で異なる(①は前年以前9年内、②は前年以前19年内)
重複期間の扱いは個々の加入履歴によって変わるため、このサイトでは単一の税額まで計算しません。一定の年数さえ空ければ二重に満額使える、という説明は現在の取扱いに合いません。逆に、年数を空けさえすれば必ず問題ないとも言い切れません。加入記録を用意して、支払者・運営管理機関・税務署または税理士へ確認してください。
計算例は考え方を示すための概算です。実際の金額は、適用される税率区分、復興特別所得税、住民税への影響、個別の事情によって変わります。
勤務先(提出しない場合は税務署)
退職金・退職手当は退職所得として、給与所得や事業所得などとは分けて計算します(分離課税)。ただし、同じ「退職金」という言葉でも受け取り方によって扱いが変わります。一時金として受け取る場合は退職所得ですが、年金形式で分割して受け取る場合は原則として雑所得(公的年金等控除の対象)となり、退職所得控除を使う計算にはなりません。また、早期退職の割増金など名称がさまざまな給付も、名称だけでは判断できません。実態として退職に基因して一時に支払われるものかどうかで判定されるため、迷う場合は支払者(勤務先)または税務署へ確認してください。
退職所得控除額は勤続年数だけで決まります。勤続20年以下は「40万円×勤続年数」、20年超は「800万円+70万円×(勤続年数−20年)」です。20年以下で計算した結果が80万円に満たない場合、控除額は80万円になります。勤続年数に1年未満の端数があるときは、原則として1年に切り上げます(たとえば10年2か月なら11年)。また、障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、計算した控除額に100万円を加えた金額になることがあります。同じ年に別の退職金を受け取った場合や、過去に受け取った退職金と勤続期間が重複する場合は、この式どおりにならないことがあります。
一般的なケースでは、退職金から退職所得控除額を差し引いた残額の2分の1が課税退職所得金額になります。ただし例外が2つあります。①特定役員退職手当等:役員等としての勤続年数が5年以下の人が受け取る退職手当等は、控除後の金額に2分の1課税を適用しません。②短期退職手当等:役員等以外でも勤続年数が5年以下の場合、控除後の金額のうち300万円を超える部分には2分の1課税を適用しません(300万円以下の部分には適用されます)。さらに、同じ年に一般退職手当等・短期退職手当等・特定役員退職手当等が重なる場合は個別の判定が必要です。自分がどれに当たるかは支払者または税務署へ確認してください。
計算で出てくる「課税退職所得金額」は、税率を掛ける前の課税対象額であって、納める税金そのものではありません。ここに所得税の税率(超過累進税率)を適用し、さらに復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が加わって所得税額が決まります。住民税は別に計算されます。「課税退職所得金額が250万円」という結果を「250万円の税金がかかる」と読み違えないでください。
この申告書を退職金の支払を受けるときまでに勤務先へ提出していれば、通常は支払者が退職所得控除などを踏まえて税額を計算し、源泉徴収してくれます。この場合、退職金だけを理由とする確定申告は原則として不要です。一方、提出していない場合は、退職金の支給額に対して一律20.42%(所得税および復興特別所得税)が源泉徴収されます。この20.42%は控除を反映していないため、多くの場合は納めすぎになります。その場合でも、確定申告をすれば正しい税額へ精算できることがあります。退職時にまとめて渡される書類に含まれていることが多いので、記入漏れがないか確認してください。
申告書を提出していれば、退職金だけを理由とする確定申告は原則不要です。ただし、医療費控除、寄附金控除、住宅ローン控除の初年度など別の理由で確定申告をする場合には、退職所得の記載が必要になるケースがあります。また、その年の所得控除が給与などから引ききれない場合、退職所得を含めて申告することで税額が下がることもあります。逆に、申告すると合計所得金額に退職所得が算入され、他の制度の判定へ影響することもあります。「退職金は確定申告に一切関係ない」とは考えず、他に申告する理由があるかどうかで確認してください。
一時金として受け取る退職所得に対する住民税は、他の所得と分けて計算され、通常は退職金の支給時に特別徴収(天引き)されます。したがって、この退職所得に対する住民税が翌年にあらためて請求されるわけではありません。ただし、退職後に届く住民税の納付書は、前年の給与などに対するもので、これとは別の話です。退職した年の住民税をどう払うか(一括徴収か普通徴収か)は勤務先と市区町村で確認してください。「翌年の住民税に絶対影響しない」と一律には断定できません。
一般的な退職一時金そのものには、通常、健康保険料・厚生年金保険料などはかかりません。ただし、年金形式で受け取る場合は雑所得となり、国民健康保険料や介護保険料の算定の基礎に入ることがあります。また、給与として扱われる給付や、名称と実態が異なる給付は同じ扱いとは限りません。退職後に自分で負担する健康保険料(任意継続・国民健康保険)や国民年金保険料は、退職金への課税とは別の問題として、あわせて確認してください。
iDeCoや企業型DCの老齢給付金を一時金で受け取る場合、退職所得になることがあります。会社の退職金と時期が近いと、勤続期間と加入期間の重複部分について退職所得控除が調整されることがあり、確認する期間は受け取る順序によって異なります。①先にDCの老齢一時金を受け取り、その後に会社の退職金等を受け取る場合:2026年1月1日以後に支払われる退職手当等については「前年以前9年内」にDC一時金を受けていると調整の対象になります(改正前は前年以前4年内)。俗に「5年ルールが10年ルールになった」と呼ばれますが、法令上の数え方はこの前年以前9年内です。②先に会社の退職金等を受け取り、その後にDCの老齢一時金を受け取る場合:「前年以前19年内」が確認対象で、①とは別です。一定の年数さえ空ければ控除を二重に満額使える、という説明は現在の取扱いに合いません。逆に、一定の年数を空けさえすれば必ず問題ない、と言い切ることもできず、加入期間と勤続期間の重複の仕方によって結果が変わります。重複期間がある場合は一律の計算にならないため、支払者・運営管理機関・税務署または税理士へ確認してください。
一時金と年金形式のどちらで受け取るかは、税額だけで決められるものではありません。受給を開始できる年齢、受け取るまでの運用、給付のたびにかかる手数料、年金形式で受け取る場合の公的年金等控除と社会保険料への影響、生活設計上いつお金が必要かなど、複数の要素が関わります。併用(一部を一時金、残りを年金)を選べる制度もあります。金額が大きく、あとから変更できない選択になることが多いため、運営管理機関や税理士へ相談したうえで判断してください。
在職中に亡くなり、死亡後に支給が確定した退職金は、所得税の退職所得ではなく、相続税の対象(みなし相続財産)になる場合があります。死亡退職金には相続税の非課税限度額が設けられていますが、適用には条件があり、相続放棄をした人は非課税制度を使えないなどの取扱いもあります。法定相続人の数の数え方にも決まりがあります。このページは所得税の退職所得を中心に説明しているため、死亡退職金の詳細は専用のページと国税庁の情報で確認してください。
このチェックリストだけで税額や控除額は確定しません。退職金の金額・支給日・申告書の提出状況は支払者(勤務先)へ、iDeCo・企業型DCの加入記録と受取方法は金融機関・運営管理機関へ、税額の計算や複数の退職金が重なる場合の判定は税務署、複雑なケースは税理士へ確認してください。退職後の年金手続きは年金事務所、住民税や国民健康保険は住所地の市区町村が窓口です。
勤続20年以下で「40万円×勤続年数」を計算した結果が80万円に満たない場合、退職所得控除額は80万円になります。たとえば勤続1年なら40万円ではなく80万円です。ただし、障害者になったことが直接の原因で退職した場合の100万円加算や、過去の退職金との勤続期間の重複による調整があると、単純にこの額どおりにならないことがあります。個別の事情がある場合は支払者または税務署へ確認してください。
1年未満の端数があるときは、原則として1年に切り上げて計算します。たとえば勤続10年2か月なら11年、20年1日でも21年として扱われます。1か月でも切り上げになるため、退職日によって控除額が40万円または70万円変わることがあります。入社日と退職日から正確に数えてください。長期の休職期間などがある場合は勤続期間の計算が異なることがあるため、勤務先へ確認してください。
勤続20年ちょうどは「20年以下」の式を使うため、40万円×20年で800万円です。20年超の式(800万円+70万円×(勤続年数−20年))で計算しても、20年なら800万円+0円で同じ結果になります。21年になると800万円+70万円=870万円となり、20年を超えてから1年あたりの控除額が大きくなります。退職時期を選べる場合は、この差を確認しておくとよいでしょう。
他の調整がなければ、控除後の残額が0円になるため、その退職金に対する課税退職所得金額は0円になります。ただし、過去に受け取った退職金やDC一時金と勤続期間・加入期間が重複している場合、退職所得控除額が調整されて想定より小さくなることがあります。また「退職所得の受給に関する申告書」を提出していないと、控除を反映しない20.42%が源泉徴収されます。確実に判断するには支払者へ確認してください。
必ずではありません。一般的なケースでは(退職金−退職所得控除額)×1/2が課税退職所得金額になりますが、例外があります。役員等としての勤続年数が5年以下の特定役員退職手当等は2分の1課税を適用しません。役員等以外でも勤続年数が5年以下の短期退職手当等は、控除後の金額のうち300万円を超える部分に2分の1課税を適用しません。自分がどれに当たるかは、支払者または税務署へ確認してください。
役員等以外の場合は短期退職手当等に当たり、退職所得控除を差し引いた残額が300万円以下の部分には2分の1課税が使えますが、300万円を超える部分には使えません。控除後が300万円を超える場合の式は「150万円+{収入金額−(300万円+退職所得控除額)}」です。この扱いは令和4年1月1日以後に支払うべき退職手当等に適用されます。役員等の場合は下の質問のとおり、さらに扱いが異なります。
同じではありません。役員等としての勤続年数が5年以下の人が受け取る退職手当等は特定役員退職手当等に当たり、退職所得控除を差し引いた残額に2分の1課税を適用しません。短期退職手当等のような300万円までの緩和もないため、同じ金額でも課税退職所得金額が大きくなります。役員期間と従業員期間が混在する場合や、同じ年に複数の退職手当等がある場合は個別の判定が必要です。支払者または税務署へ確認してください。
提出していない場合、退職金の支給額に対して一律20.42%(所得税および復興特別所得税)が源泉徴収されます。この税率は退職所得控除や2分の1課税を反映していないため、多くの場合は本来の税額より多く引かれます。提出していれば、通常は支払者が控除を踏まえて税額を計算し、退職金だけを理由とする確定申告は原則不要になります。退職時の書類に含まれていることが多いので、提出済みか勤務先へ確認してください。
確定申告をすることで、正しい税額へ精算できる場合があります。退職所得控除や2分の1課税を反映した本来の税額との差額が還付される可能性があります。手続きには退職所得の源泉徴収票が必要になるため、勤務先から受け取って保管してください。還付を受けるためだけの申告は、原則としてその年の翌年1月1日から5年間提出できます。具体的な手続きは税務署で確認してください。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、退職金だけを理由とする確定申告は原則不要です。ただし「一切関係ない」わけではありません。申告書を出していない場合は精算のために申告した方がよいことがあります。また、その年の所得控除を引ききれない場合は、申告することで税額が下がることもあります。他に申告する理由があるかどうかを含めて確認してください。
記載が必要になるケースがあります。医療費控除や寄附金控除などで確定申告をする場合、申告の内容によっては退職所得を含めて申告することになります。退職所得を申告に含めると合計所得金額に算入され、他の制度の判定に影響することもあります。退職所得の源泉徴収票を用意したうえで、申告書の作成時に税務署または確定申告書等作成コーナーの案内で確認してください。
同じ年に複数の退職手当等を受け取る場合や、前年以前に受け取った退職金と勤続期間が重複する場合は、退職所得控除額が調整され、単純に別々で計算した合計にはなりません。また、一般退職手当等・短期退職手当等・特定役員退職手当等が混在する場合は、さらに個別の計算方法が定められています。自分で一律に計算せず、それぞれの支払者と税務署へ確認してください。
受け取る順序によって確認する期間が違うため、一律の年数では答えられません。先にDCの老齢一時金を受け取り、その後に会社の退職金等を受け取る場合、2026年1月1日以後に支払われる退職手当等については「前年以前9年内」が確認対象です(改正前は前年以前4年内)。逆に会社の退職金等を先に受け取る場合は「前年以前19年内」が対象です。さらに勤続期間と加入期間の重複によっても結果が変わるため、特定の年数さえ空ければ必ず問題ないとは言えません。加入記録を持って運営管理機関や税務署へ確認してください。
かかります。一時金として受け取る退職所得に対する住民税は、他の所得と分けて計算され、通常は退職金の支給時に特別徴収(天引き)されます。したがって、この退職所得分の住民税が翌年にあらためて請求されるわけではありません。ただし、退職後に届く住民税の納付書は前年の給与などに対するもので、これとは別です。退職した年の住民税の納め方は勤務先と市区町村へ確認してください。
一般的な退職一時金そのものには、通常、健康保険料・厚生年金保険料などはかかりません。ただし、年金形式で受け取る場合は雑所得となり、国民健康保険料や介護保険料の算定の基礎に入ることがあります。また、名称と実態が異なる給付や給与として扱われるものは同じとは限りません。退職後に自分で負担する健康保険料・国民年金保険料は、退職金への課税とは別の問題として確認してください。
一律には決まりません。一時金は退職所得として退職所得控除と(一般的なケースでは)2分の1課税の対象になり、年金形式は雑所得として公的年金等控除の対象になりますが、社会保険料の算定に影響することがあります。さらに受給開始できる年齢、受け取るまでの運用、給付のたびの手数料、生活設計上いつ資金が必要かも判断材料です。併用できる制度もあります。金額が大きく後から変更しにくいため、運営管理機関や税理士へ相談してください。
異なります。在職中に亡くなり、死亡後に支給が確定した退職金は、所得税の退職所得ではなく相続税の対象(みなし相続財産)になる場合があります。死亡退職金には相続税の非課税限度額がありますが、適用には条件があり、相続放棄をした人は使えないなどの取扱いもあります。死亡後3年を超えて支給が確定した場合は扱いがさらに変わることがあります。詳細は死亡退職金の専用ページと国税庁の情報で確認してください。
退職所得になる場合がありますが、名称だけでは判断できません。早期退職優遇制度による割増金など、退職に基因して一時に支払われるものは退職手当等として退職所得に含まれるのが一般的です。一方、在職中の功労に対する賞与など性質が異なるものは給与所得として扱われることがあります。支給の根拠と性質によって判定されるため、支払者(勤務先)に支給区分を確認し、迷う場合は税務署へ相談してください。