税金 GUIDE

雑損控除・災害減免法

まず原因で分かれます。盗難・横領なら雑損控除だけ、災害なら雑損控除と災害減免法のどちらかを選びます。雑損控除は所得から差し引く所得控除で、引き切れない分を翌年以後へ繰り越せます。災害減免法は所得税そのものを軽減・免除する制度で、繰越はありません。どちらも年末調整では受けられず、確定申告が必要です。

全国共通申請必要対象年度:2026年時点最終確認日:2026.09.19

A. この制度をひとことで

  • 原因で入口が決まる:盗難・横領は雑損控除のみ。災害は雑損控除か災害減免法のどちらかを選ぶ
  • 性質が違う:雑損控除は所得控除(所得から差し引く)、災害減免法は所得税額の軽減・免除(税額から差し引く)
  • 自動では始まりません。年末調整では受けられず、確定申告が必要です

B. 対象になる人

災害・盗難・横領で住宅や家財などに損害を受けた場合、所得控除である雑損控除か、所得税そのものを軽減・免除する災害減免法の、有利な方を選べる場合があります。対象になる原因・資産・計算方法・繰越の有無が、2つの制度でそれぞれ異なります。

詐欺や恐喝による損失は、雑損控除の対象になりません。災害減免法が使えるのは災害による損害だけで、盗難・横領は対象外です。保険金などで補填される金額は差し引きますが、まず損害金額から差し引き、損害金額を超える部分だけを災害等関連支出から差し引きます。同じ保険金を両方から二重に差し引かないでください。

所得制限・年齢制限
対象になるのは、納税者本人が所有する資産のほか、納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が年分ごとの基準以下である人が所有する資産です。この基準は年分で違い、令和2年分から令和6年分は48万円以下、令和7年分は58万円以下、令和8年分(2026年分)以後は62万円以下です。62万円以下への改正は令和8年12月1日施行で、令和8年分以後の所得税に適用されます。判定するのは収入ではなく総所得金額等で、過去の年分を申告し直す場合はその年分の基準で判定します。この年分別の基準は、雑損控除だけでなく災害減免法の住宅・家財の所有者についても同じです。これとは別に、災害減免法には納税者本人について、その年分の所得金額の合計額が1,000万円以下であることという所得要件があります。2つの所得要件は対象になる人が違うので取り違えないでください。

C. いくら関係するか

金額・計算方法
雑損控除(所得控除)は、①(損害金額+災害等関連支出−保険金等)−総所得金額等×10% ②(災害関連支出−保険金等)−5万円 の多い方。控除しきれない雑損失は翌年以後3年間(東日本大震災および令和5年4月1日以後に発生した特定非常災害による損失は5年間)繰り越せる。災害減免法(所得税額の軽減・免除)は、住宅・家財の損害金額(保険金等を差し引いた後)がその時価の2分の1以上で、かつその年分の所得金額の合計額が1,000万円以下の場合に、所得金額の合計額500万円以下は全額免除、500万円超750万円以下は2分の1軽減、750万円超1,000万円以下は4分の1軽減

実際の金額は入力条件によって異なります。正確な金額は公式窓口で確認するか、下のシミュレーターで概算してください。

所得税・住民税を概算する
雑損控除と災害減免法の違い
項目雑損控除災害減免法
制度の性質所得控除(所得から差し引く)所得税額の軽減・免除(税額から差し引く)
対象になる原因災害、盗難、横領災害のみ(盗難・横領は対象外)
対象になる資産生活に通常必要な住宅・家財など住宅・家財
所得の条件本人の所得に上限なしその年分の所得金額の合計額1,000万円以下
計算の考え方2つの計算式の多い方所得金額の合計額に応じた割合で税額を軽減・免除
繰越引き切れない分を翌年以後へ繰り越せる繰越の仕組みはない
個人住民税住民税にも雑損控除があり、申告すれば反映される所得税の制度。住民税へ自動では及ばない

同じ損害について両方を重ねて適用することはできません。控除額と軽減税額は単位の違う金額なので、そのまま大小を比べず、それぞれを適用して計算した税額で比べてください。

対象になる原因・ならない原因
原因雑損控除災害減免法
震災・風水害・冷害・雪害・落雷など自然現象の異変対象対象
火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害対象対象
害虫など生物による異常な災害(シロアリ被害など)対象対象
盗難対象対象外
横領対象対象外
詐欺・恐喝対象外対象外

詐欺・恐喝は、本人の意思が介在して財産を渡しているため、雑損控除の対象になりません。オレオレ詐欺や投資詐欺の被害も同じです。盗難・横領で災害減免法を使うことはできません。

対象になる資産・ならない資産
資産雑損控除の対象補足
自宅(生活に通常必要な住宅)対象本人または一定の親族が所有していることが必要
家財・衣類・生活用の家具対象生活に通常必要な動産であること
棚卸資産(商品・製品など)対象外事業所得などの必要経費として処理する
事業用の固定資産等対象外事業所得などの必要経費として処理する
別荘など趣味・娯楽・保養・鑑賞のための不動産対象外生活に通常必要でない資産に当たる
1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・書画・骨とう対象外生活に通常必要でない資産に当たる
ゴルフ会員権など対象外生活に通常必要でない資産に当たる

雑損控除の対象になるのは、棚卸資産でも事業用固定資産等でも生活に通常必要でない資産でもない資産です。生活用の自動車のように、使い方によって判定が分かれるものもあります。迷う場合は税務署へ確認してください。

資産の所有者の条件
所有者条件判定に使う金額
納税者本人所得の条件なし—
生計を一にする配偶者その年の総所得金額等が年分ごとの基準以下収入ではなく総所得金額等
生計を一にするその他の親族その年の総所得金額等が年分ごとの基準以下収入ではなく総所得金額等
生計を一にしていない親族対象外—

年分ごとの基準は下の表のとおりです。判定するのは収入金額ではなく総所得金額等で、給与だけの人なら給与所得控除を差し引いた後の金額で見ます。この所有者の要件は、雑損控除と災害減免法(住宅・家財の所有者)で同じです。災害減免法にある「所得金額の合計額1,000万円以下」は納税者本人についての別の要件なので、取り違えないでください。

生計を一にする配偶者・親族の総所得金額等(年分で違う)
年分総所得金額等備考
令和2年分〜令和6年分48万円以下令和6年分(2024年分)まではこの基準
令和7年分58万円以下令和7年分(2025年分)のみこの基準
令和8年分(2026年分)以後62万円以下令和8年12月1日施行、令和8年分以後の所得税に適用

2026年分の申告で48万円や58万円の基準を使わないでください。逆に、過去の年分を申告し直す場合は、その年分の基準で判定します。この年分別の基準は、雑損控除でも災害減免法(住宅・家財の所有者)でも同じです。なお、施行日より前に納税者が死亡または出国して準確定申告を行った場合など、適用関係が通常と異なることがあります。該当しそうな場合は、国税庁の令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&Aと税務署で確認してください。

雑損控除の2つの計算方法
計算方法計算式使える支出
方法①(総所得金額等が基準)差引損失額 − 総所得金額等 × 10%損害金額と災害等関連支出の両方(盗難・横領の関連支出も含む)
方法②(災害関連支出が基準)災害関連支出(保険金等を差し引いた後)− 5万円災害関連支出だけ(盗難・横領の関連支出は含まない)

多い方が雑損控除額になります。どちらも0未満になる場合、雑損控除額は0円です。差引損失額=(損害金額+災害等関連支出)−保険金等です。

「災害等関連支出」と「災害関連支出」
支出方法①の差引損失額方法②
災害関連支出(滅失した住宅・家財等の取壊し・除去費用など)含む含む
盗難・横領に関連したやむを得ない支出含む含まない
シロアリの駆除・修繕の費用含む含む
シロアリの予防費用、駆除とあわせて行う予防の費用含まない含まない

「災害等関連支出」は災害関連支出と盗難・横領の関連支出を合わせた呼び方で、「災害関連支出」は災害によるものだけを指します。名前が似ているため、方法②の計算で盗難の関連支出を入れてしまう誤りが起きやすい部分です。

保険金などを差し引く順序
順序差し引く先考え方
1番目損害金額保険金等はまず損害金額から差し引く
2番目災害等関連支出損害金額を超える部分だけを差し引く
3番目差し引かない充当しきれずに余った保険金は、どこからも差し引かない

同じ保険金を損害金額と関連支出の両方からそれぞれ差し引くと、控除額が実際より小さくなります。二重に差し引かないでください。

受け取ったお金の扱い(性質ごとに違う)
受け取ったもの損失額から差し引くか所得税の課税
火災保険金・地震保険金・共済金差し引く損害の補填なので原則として課税されない
加害者からの損害賠償金差し引く原則として課税されない
損害の補填を目的としない義援金差し引く補填金に含まれないとされている社会通念上相当と認められるものは課税されない
社会通念上相当と認められる見舞金同上課税されない
被災者生活再建支援金法令で非課税とされている給付非課税

「もらったお金は全部差し引く」と単純化すると誤ります。損害の補填を目的とするものかどうかで扱いが変わるため、受け取った金銭ごとに名目と趣旨を確認し、判断に迷う場合は税務署へ確認してください。

災害減免法の軽減・免除割合
その年分の所得金額の合計額軽減・免除される所得税額境界の読み方
500万円以下全額500万円ちょうどは全額免除
500万円超750万円以下2分の1750万円ちょうどは2分の1
750万円超1,000万円以下4分の11,000万円ちょうどは4分の1
1,000万円超適用なし1円でも超えると使えない

あわせて、住宅・家財の損害金額(保険金などで補填される金額を差し引いた後)が、その時価の2分の1以上であることが必要です。ちょうど2分の1も該当します。

手続きの区別(別々の制度です)
手続き何をするものか窓口・提出先
申告期限の延長災害などで申告・納付ができないときに期限を延ばす地域指定は自動。個別指定は所轄の税務署へ申請
納税の猶予納める税金の支払いを待ってもらう所轄の税務署
源泉所得税の徴収猶予・還付確定申告を待たずに、給与などの源泉徴収で先に手当てする徴収猶予は支払者経由、還付は住所地の税務署
還付を受けるための申告納めすぎた所得税を返してもらう税務署・e-Tax
繰越控除のための申告引き切れない雑損失を翌年以後へ繰り越す税務署・e-Tax(連続して提出が必要)

期限を延ばすことと、税を軽くすることは別です。延長や猶予を受けても、雑損控除や災害減免法を使うには申告が必要です。

所得税と個人住民税
制度所得税個人住民税
雑損控除その年分に反映原則として翌年度に反映(所得税で申告すれば別途の申告は不要なことが多い)
災害減免法所得税額を軽減・免除同じ免除が自動で適用されるわけではない
自治体独自の減免・猶予—地方税法や各自治体の条例に基づく別の制度。要件・申請先・期限は自治体ごとに異なる

住民税の減免を受けたい場合は、所得税の申告とは別に、住所地の市区町村へ確認してください。所得税で災害減免法を選んだ場合、住民税側では雑損控除の扱いがどうなるかを含めて市区町村へ確認することをおすすめします。

計算例

例1:台風で自宅が損壊し、火災保険金を受け取った場合(雑損控除)

  1. 前提:2026年分(令和8年分)。本人所有の自宅(生活に通常必要な資産)。原因は台風。総所得金額等 400万円
  2. 損害金額(被災直前の時価を基に計算)300万円、災害関連支出 0円、保険金 100万円
  3. 保険金はまず損害金額から差し引く:300万円 − 100万円 = 200万円
  4. 差引損失額 = 200万円
  5. 計算方法①:200万円 − 400万円 × 10% = 160万円
  6. 計算方法②:災害関連支出 0円 − 50,000円 = △50,000円(0未満なので使えない)

雑損控除額は多い方の 160万円(計算方法①)

控除額がそのまま戻るわけではありません。所得控除なので、軽くなる税額は控除額にその人の税率を掛けた程度です。

例2:損害そのものは小さいが、取壊し・除去の費用が大きい場合(雑損控除)

  1. 前提:2026年分。豪雨で自宅の一部が損壊。総所得金額等 800万円。保険金なし
  2. 損害金額 30万円、災害関連支出(損壊部分の取壊し・除去)80万円
  3. 差引損失額 = 30万円 + 80万円 = 110万円
  4. 計算方法①:110万円 − 800万円 × 10% = 30万円
  5. 計算方法②:80万円 − 50,000円 = 75万円

雑損控除額は多い方の 75万円(計算方法②)

所得が多いほど計算方法①の「総所得金額等×10%」が大きくなるため、災害関連支出が大きい場合は計算方法②が有利になることがあります。どちらか一方に決め打ちせず、両方を計算してください。

例3:空き巣に入られ、家財を盗まれた場合(雑損控除)

  1. 前提:2026年分。本人所有の家財(生活に通常必要な資産)。原因は盗難。総所得金額等 300万円。保険金なし
  2. 盗まれた家財の損害金額 60万円、壊された玄関を応急的に修理した費用(盗難に関連したやむを得ない支出)50,000円
  3. 差引損失額 = 60万円 + 50,000円 = 65万円
  4. 計算方法①:65万円 − 300万円 × 10% = 35万円
  5. 計算方法②:使えるのは「災害関連支出」だけで、盗難に関連した支出は入らない。0円 − 50,000円 = △50,000円(0未満)

雑損控除額は 35万円(計算方法①)。盗難なので災害減免法は使えない

盗難・横領に関連したやむを得ない支出は、差引損失額(計算方法①)には含まれますが、計算方法②の「災害関連支出」には含まれません。また、災害減免法は災害による損害だけが対象なので、盗難ではそもそも選択肢になりません。

例4:保険金が損害を上回り、控除額が0になる場合(雑損控除)

  1. 前提:2026年分。火災で自宅と家財が被災。総所得金額等 500万円
  2. 損害金額 150万円、災害関連支出 20万円、保険金 200万円
  3. 保険金はまず損害金額へ:150万円 を充当し、損害金額は 0円 になる
  4. 損害金額を超えた分を災害関連支出へ:20万円 を充当し、災害関連支出は 0円 になる
  5. 充当しきれなかった保険金 30万円 は、差し引く先がないのでどこからも引かない
  6. 差引損失額 = 0円。計算方法①は △50万円、計算方法②は △50,000円。どちらも0未満

雑損控除額は 0円(控除できる金額がない)

保険金は、損害金額と災害関連支出の両方からそれぞれ 200万円 を差し引くような使い方はしません。まず損害金額から差し引き、超えた部分だけを関連支出から差し引きます。同じ保険金を二重に差し引くと、控除額が実際より小さくなります。

例5:損失が大きく、その年に引き切れない場合(雑損失の繰越控除)

  1. 前提:2026年分。地震で自宅が大きな被害を受けた。総所得金額等 200万円
  2. 損害金額 900万円、保険金 100万円、災害関連支出 0円
  3. 差引損失額 = 800万円
  4. 計算方法①:800万円 − 200万円 × 10% = 780万円。計算方法②は △50,000円
  5. 雑損控除額 780万円 に対して、その年の総所得金額等は 200万円 しかない
  6. 引き切れない 580万円 が雑損失の金額になる

翌年以後 3 年間(東日本大震災や令和5年4月1日以後の特定非常災害による損失は 5 年間)へ 580万円 を繰り越せる

繰り越すには、損失が生じた年分の確定申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出する必要があります。1年でも提出が途切れると繰越が使えなくなることがあります。災害減免法には繰越の仕組みがありません。

例6:雑損控除と災害減免法のどちらが有利かを比べる場合

  1. 前提:2026年分。地震で住宅・家財が被災。時価 1,000万円、保険金差引後の損害金額 600万円。総所得金額等・所得金額の合計額とも 600万円。雑損控除以外の所得控除の合計 150万円。災害関連支出なし
  2. 軽減前の所得税(復興特別所得税を含む):課税所得 450万円 → 482,422円
  3. 災害減免法:損害割合 60% で2分の1以上を満たし、所得金額の合計額 600万円 は「500万円超750万円以下」に当たるため軽減割合は 50%。軽減額 241,211円 → 所得税は 241,211円
  4. 雑損控除:差引損失額 600万円 − 600万円 × 10% = 控除額 540万円
  5. 雑損控除を適用した場合の課税所得:600万円 − 540万円 − 150万円 → 0円まで下がるため、所得税は 0円

この前提では雑損控除の方が所得税が少なくなる(241,211円 に対して 0円)

比べるのは「控除額 540万円」と「軽減税額 241,211円」ではありません。前者は所得から差し引く金額、後者は税額から差し引く金額で、単位が違います。必ず両方を適用して計算した所得税額で比べてください。あわせて、雑損控除には繰越と個人住民税への反映があり、災害減免法にはどちらもない点も判断材料になります。

例7:災害減免法の所得の境界(「以下」と「超」の違い)

  1. 前提:2026年分。損害割合は2分の1以上を満たしている。軽減前の所得税額は 400,000円 で固定し、所得金額の合計額だけを変える
  2. 所得金額の合計額 7,500,000円 → 500万円超750万円以下・軽減割合 50% → 軽減額 200,000円
  3. 所得金額の合計額 7,500,001円 → 750万円超1,000万円以下・軽減割合 25% → 軽減額 100,000円
  4. 所得金額の合計額 10,000,000円 → 750万円超1,000万円以下・軽減割合 25% → 軽減額 100,000円
  5. 所得金額の合計額 10,000,001円 → 適用なし・軽減割合 0% → 軽減額 0円

7,500,000円 と 7,500,001円 では軽減額が 200,000円 と 100,000円 に分かれ、10,000,001円 では適用がない

「750万円以下」なのか「750万円超」なのかで軽減割合が変わり、1,000万円を1円でも超えると災害減免法は使えません。境界に近い場合は、所得金額の合計額を先に確定させてから判断してください。所得金額の合計額は、雑損控除の計算で使う総所得金額等とは意味が異なる場合があります。

計算例は考え方を示すための概算です。実際の金額は、適用される税率区分、復興特別所得税、住民税への影響、個別の事情によって変わります。

ほかの制度への影響
  • 対象になる原因:震災・風水害・冷害・雪害・落雷など自然現象の異変による災害、火災や火薬類の爆発など人為による異常な災害、害虫など生物による異常な災害、盗難、横領です。自分の意思が介在する詐欺・恐喝による損失は対象になりません。
  • 対象になる資産:生活に通常必要な住宅・家財・衣類などです。棚卸資産や事業用の固定資産等、生活に通常必要でない資産(別荘、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・書画・骨とう、ゴルフ会員権など趣味・娯楽・保養・鑑賞のための資産)は、いずれも雑損控除の対象になりません。
  • 資産の所有者:納税者本人のほか、納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が年分ごとの基準以下である人が所有する資産も対象です。この基準は年分で違い、令和2年分から令和6年分は48万円以下、令和7年分は58万円以下、令和8年分(2026年分)以後は62万円以下です。62万円以下への改正は令和8年12月1日施行で、令和8年分以後の所得税に適用されます。同じ年分別の基準は、災害減免法の住宅・家財の所有者についても使われます。判定するのは収入ではなく総所得金額等で、過去の年分を申告し直す場合はその年分の基準で判定します。
  • 損害金額の計算:損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基に計算します。購入価格、被災直前の価額、修理費はそれぞれ別のもので、購入価格をそのまま損害金額にはできません。住宅の主要構造部に損壊があり個々に計算するのが難しい場合は、国税庁が示す「損失額の合理的な計算方法」(取得価額から減価償却費を差し引いた額に被害割合を掛ける方法)を使えます。
  • 災害関連支出と盗難等関連支出:災害関連支出は、災害により滅失した住宅・家財等の取壊し・除去費用など、災害に関連してやむを得ず支出した金額です。盗難・横領に関連したやむを得ない支出も差引損失額には含まれますが、計算方法②に使えるのは災害関連支出だけです。シロアリなど害虫による被害では、駆除や修繕の費用は対象になりますが、被害を防ぐための予防費用や、駆除とあわせて行う予防の費用は対象になりません。
  • 見舞金・義援金:損害を補填するものとして受け取る保険金・損害賠償金は差し引きます。一方、損害の補填を目的としない義援金・見舞金は、差し引く補填金には含まれないとされています。社会通念上相当と認められる見舞金や、被災者生活再建支援金など法令で非課税とされているものは所得税の課税対象にもなりません。金銭の性質ごとに扱いが違うため、一律に全額を差し引くと誤ります。
  • 併用の可否:同じ損害について、雑損控除と災害減免法を重ねて適用することはできません。どちらか有利な方を選びます。控除額と軽減税額は性質が違う金額なので、そのまま大小を比べず、それぞれを適用して計算した税額で比べてください。
  • 個人住民税との関係:雑損控除は個人住民税にもあり、所得税で申告すれば原則として翌年度の住民税にも反映されます。一方、災害減免法は所得税の制度で、個人住民税に同じ免除が自動で適用されるわけではありません。個人住民税には地方税法や各自治体の条例に基づく別の減免があり、要件・申請先・期限は自治体ごとに異なります。
  • 手続きの区別:申告期限の延長(地域指定・個別指定)、納税の猶予、還付を受けるための申告、繰越控除のための申告は、それぞれ別の手続きです。給与所得者でも年末調整では受けられず、確定申告が必要です。確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例は申請済みの分も含めて無効になるため、寄附金控除も確定申告書に記載してください。
  • 選択制:雑損控除と災害減免法は、原則として同じ損害に両方を使えません。
  • 補填金:保険金や支援金などで補填される金額は、損失額から差し引く場合があります。

D. いつまでに何をするか

時期・期限の目安
被害を受けた年分の確定申告。還付を受けるためだけの申告は、原則としてその年の翌年1月1日から5年間提出できる。繰越控除を使う場合は、損失が生じた年分の確定申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出する

この制度は、人によって期限の起点が異なる・一律の期限計算ルールがないため、期限の自動計算には対応していません。期限は上記の時期の目安と公式窓口で確認してください。

E. どこで申請するか

税務署・e-Tax(年末調整では受けられない)。給与・公的年金等の源泉所得税の徴収猶予や還付を先に受ける場合は、支払者経由または住所地の税務署へ申請書を提出する

主な必要書類
  • 被害の状況が分かる写真(被災直後のもの。片付ける前に撮る)
  • 修理・取壊し・除去にかかった費用の領収書
  • 保険金・共済金・損害賠償金の支払額が分かる書類
  • 罹災証明書・被災証明書など、被害の程度を示す自治体の書類(求められる場面で使う)
  • 盗難の場合は、警察へ届け出たことが分かる記録
  • 資産の取得時期・取得価額が分かる書類(売買契約書、領収書など。合理的な計算方法を使う場合に必要)
  • 源泉徴収票など、その年の所得が分かる書類

G. 知らないと損しやすい注意点

まず原因を確認する。盗難・横領なら選べるのは雑損控除だけ

この2つは似た場面で出てきますが、入口が違います。雑損控除は災害・盗難・横領による損害が対象で、災害減免法は災害による損害だけが対象です。空き巣や車上荒らし、横領の被害で災害減免法を使うことはできません。盗難の被害に遭った場合は、雑損控除だけを検討してください。逆に災害の場合は、雑損控除と災害減免法の両方が候補になり、有利な方を選びます。同じ損害に両方を重ねて適用することはできません。

詐欺・恐喝は対象にならない

詐欺や恐喝による損失は、雑損控除の対象になりません。盗難や横領は本人の意思と関係なく財産が失われるのに対し、詐欺・恐喝は、だまされたり脅されたりした結果であっても本人が財産を渡す行為をしているためです。オレオレ詐欺、還付金詐欺、架空の投資話による被害なども同じ扱いです。被害額が大きくても税の控除にはならないため、警察や消費生活センターなど別の窓口での対応を検討してください。

所得控除と税額の軽減・免除は、比べ方が違う

雑損控除は所得控除なので、控除額がそのまま戻ってくるわけではありません。軽くなる税額は、おおよそ控除額にその人の所得税率を掛けた程度にとどまります。一方、災害減免法は計算した所得税額そのものを軽減・免除する制度です。したがって「雑損控除の控除額540万円」と「災害減免法の軽減税額24万円」を並べて大きい方を選ぶ、という比べ方は誤りです。それぞれを適用して所得税額を計算し、実際に納める税額で比べてください。あわせて、繰越の有無と個人住民税への影響も判断材料になります。

対象になる資産は「生活に通常必要な資産」

雑損控除の対象になるのは、棚卸資産でも、事業用の固定資産等でも、生活に通常必要でない資産でもない資産です。具体的には自宅、家財、衣類など、生活に通常必要な住宅・家財が中心です。商品や製品などの棚卸資産、事業に使っている固定資産の損失は、事業所得などの必要経費として処理するもので、雑損控除では扱いません。別荘、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・書画・骨とう、ゴルフ会員権のように、主として趣味・娯楽・保養・鑑賞のために持っている資産は「生活に通常必要でない資産」に当たり、対象になりません。

本人以外が所有する資産でも対象になる場合がある

対象になるのは本人所有の資産だけではありません。納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族が所有する資産で、その人のその年の総所得金額等が年分ごとの基準以下であれば、その資産の損失も本人の雑損控除に含められます。ここで判定するのは収入金額ではなく総所得金額等です。給与だけの人なら、収入から給与所得控除を差し引いた後の金額で判定します。収入の額をそのまま当てはめないでください。生計を一にしていない親族の資産は対象になりません。

親族の所得要件は年分で違う(2026年分は62万円以下)

生計を一にする配偶者やその他の親族の総所得金額等の基準は、年分によって違います。令和2年分から令和6年分は48万円以下、令和7年分は58万円以下、令和8年分(2026年分)以後は62万円以下です。62万円以下への改正は令和8年12月1日施行で、令和8年分以後の所得税に適用されます。2026年分の申告で48万円や58万円の基準を使わないでください。逆に、過去の年分について申告し直す場合は、その年分の基準で判定します。この年分別の基準は、雑損控除だけでなく災害減免法の住宅・家財の所有者についても同じです。なお、施行日より前に納税者が死亡または出国して準確定申告を行った場合など、適用関係が通常と異なることがあります。該当しそうな場合は、国税庁の令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&Aを確認し、税務署へ相談してください。

損害金額は「被災直前の時価」を基に計算する

損害金額は、損害を受けた時の直前におけるその資産の価額(時価)を基に計算します。購入したときの価格、被災直前の価額、修理にかかった費用は、それぞれ別のものです。20年前に3,000万円で買った家が全壊したからといって、3,000万円をそのまま損害金額にはできません。また、修理費を支払ったからといって、その金額がそのまま損害金額になるわけでもありません。どの金額をどう使うかを分けて考えてください。

個々に計算するのが難しい場合の「合理的な計算方法」

住宅の主要構造部に損壊があり、被害を受けた資産について個々に損失額を計算することが難しい場合には、国税庁が示している「損失額の合理的な計算方法」を使えます。住宅については、取得価額から減価償却費を差し引いた金額に被害割合を掛けて計算する方法などが示されています。家財や車両についても、それぞれの計算方法が用意されています。この方法を使う場合、取得時期と取得価額が分かる書類が必要になります。どの方法を使えるか、どの資料が必要かは、国税庁の災害関係の案内と所轄の税務署で確認してください。

災害関連支出と、盗難・横領の関連支出を混同しない

災害関連支出は、災害により滅失した住宅・家財等の取壊し費用や除去費用など、災害に関連してやむを得ず支出した金額です。盗難や横領の被害でも、やむを得ない支出があれば差引損失額に含められます。この2つを合わせた呼び方が「災害等関連支出」です。注意が必要なのは計算方法②で、ここに使えるのは災害関連支出だけです。盗難に関連した支出を計算方法②に入れると、控除額を過大に計算してしまいます。名前が似ているので、どちらの言葉が使われているかを確認してください。

シロアリは駆除と予防で扱いが分かれる

シロアリによる被害は、害虫その他の生物による異常な災害に当たるとされ、被害を受けた部分の修繕費用やシロアリを駆除するための費用は雑損控除の対象になります。一方、被害を防ぐための予防費用や、駆除とあわせて行う予防のための費用は、応急的な措置に当たらないため対象になりません。駆除と予防をまとめて依頼した場合は、見積書や領収書で駆除分と予防分を分けて記載してもらってください。金額が一本になっていると、対象部分を示せないことがあります。

保険金は、まず損害金額から差し引く

保険金・共済金・損害賠償金など、損害を補填するものとして受け取る金額は差し引きます。差し引く順序は決まっていて、まず損害金額から差し引き、保険金等が損害金額を超える場合に、その超える部分を災害等関連支出から差し引きます。ここで起きやすい誤りが、同じ保険金を損害金額からも関連支出からもそれぞれ全額差し引いてしまうことです。二重に差し引くと控除額が実際より小さくなります。充当しきれずに余った保険金は、差し引く先がないのでどこからも差し引きません。

見舞金・義援金・支援金は、一律に差し引くものではない

受け取ったお金をすべて損失額から差し引く、と考えると誤ります。差し引くのは損害を補填するものとして受け取る金額です。地方公共団体などから受け取る義援金のように、損害の補填を目的としないものは、差し引く補填金には含まれないとされています。また、心身または資産に加えられた損害について支払を受ける義援金や見舞金で、受贈者の社会的地位や贈与者との関係などに照らし社会通念上相当と認められるものは、所得税・復興特別所得税の課税対象にもなりません。被災者生活再建支援金のように、法令の規定で非課税とされている給付もあります。名目ではなく趣旨で判断されるため、受け取った金銭が多い場合は税務署へ確認してください。

雑損控除額が0円になることもある

計算方法①も計算方法②も0未満になる場合、雑損控除額は0円です。マイナスの控除額を申告して他の所得を増やす、といった扱いにはなりません。保険金で損害がほぼ補填された場合や、総所得金額等が大きく「総所得金額等×10%」が損失額を上回る場合には、損害を受けていても控除できる金額が生じないことがあります。この場合でも、災害による損害であれば災害減免法が使える可能性があるので、そちらも確認してください。

引き切れない損失は繰り越せる(通常は3年、特例は5年)

雑損控除額がその年の総所得金額等から控除しきれない場合、その引き切れない金額(雑損失の金額)を翌年以後3年間にわたって繰り越し、各年の所得金額から控除できます。東日本大震災による損失、および令和5年4月1日以後に発生した特定非常災害による損失については、繰越期間が5年間になります。通常の3年と、特定非常災害の5年は別の扱いなので、自分の被害がどの災害によるものかを確認してください。特定非常災害に指定されているかどうかは、国税庁や内閣府の案内で確認できます。

繰り越すには、連続して確定申告書を提出する

繰越控除を使うには、損失が生じた年分の確定申告書を提出したうえで、その後も連続して確定申告書を提出する必要があります。翌年に所得がほとんどなく納める税金がない年でも、繰越を続けるためには申告書を出してください。1年でも提出が途切れると、繰越が使えなくなることがあります。年末調整だけで済ませた年があると、この要件を満たさないことがある点にも注意してください。災害減免法には繰越の仕組みがないため、損失が大きく数年にわたって影響が残る場合は、雑損控除を選ぶ方が有利になることがあります。

災害減免法は、損害割合と所得の2つで判定する

災害減免法を使えるのは、災害によって受けた住宅または家財の損害金額(保険金などで補填される金額を差し引いた後)が、その時価の2分の1以上であり、かつ、その年分の所得金額の合計額が1,000万円以下の場合です。損害割合はちょうど2分の1でも該当します。軽減・免除される所得税額は、所得金額の合計額が500万円以下なら全額、500万円超750万円以下なら2分の1、750万円超1,000万円以下なら4分の1です。境界は「以下」と「超」で区切られているため、750万円ちょうどなら2分の1、750万円を1円でも超えれば4分の1になります。1,000万円を超えると災害減免法自体が使えません。なお、対象になる住宅・家財の所有者の範囲は雑損控除と同じで、納税者本人のほか、生計を一にする配偶者やその他の親族で総所得金額等が年分ごとの基準以下(令和2年分〜令和6年分は48万円以下、令和7年分は58万円以下、令和8年分以後は62万円以下)の人が所有するものが含まれます。この所有者の所得要件と、本人についての「所得金額の合計額1,000万円以下」は別の要件です。

災害減免法は個人住民税に自動では及ばない

災害減免法は所得税の制度です。所得税が免除されたからといって、個人住民税にも同じ免除が自動で適用されるわけではありません。個人住民税については、地方税法や各自治体の条例に基づく減免・猶予の制度が別に用意されており、対象、割合、申請先、期限は自治体ごとに異なります。また、個人住民税にも雑損控除があり、所得税で雑損控除を申告すれば原則として翌年度の住民税にも反映されます。所得税で災害減免法を選んだ場合に住民税側がどうなるかは、住所地の市区町村へ確認してください。

年末調整では受けられない。確定申告が必要

雑損控除も災害減免法も、給与所得者の年末調整では受けられません。どちらも確定申告で手続きします。会社員で普段は確定申告をしていない人も、この2つを使う年は自分で申告することになります。還付を受けるためだけの申告であれば、原則としてその年の翌年1月1日から5年間提出できるため、被害を受けた年にすぐ申告できなかった場合でも間に合うことがあります。ただし繰越控除を使う場合は、損失が生じた年分の申告とその後の連続した申告が必要なので、早めに手続きしてください。

申告を待たずに源泉徴収で手当てする方法もある

給与や公的年金等の支払を受ける人が災害により被害を受けた場合、確定申告を待たずに、源泉所得税および復興特別所得税の徴収猶予や還付を受けられる仕組みがあります。徴収猶予を受けたい場合は給与などの支払者を経由して、還付を受けたい場合は住所地の税務署へ、それぞれ申請書を提出します。この仕組みを使った場合、その年の年末調整は行われず、最終的には確定申告で精算します。手元の資金が不足している場合に検討できる方法ですが、申告が不要になるわけではありません。

証明書は場面によって必要なものが違う

被害の状況が分かる写真、修理・取壊し・除去の領収書、保険金の支払額が分かる書類は、損失額を説明するうえで役に立ちます。罹災証明書や被災証明書は、自治体が被害の程度を証明する書類で、住宅の被害区分などを示すときに使われます。ただし、どの手続きでも同じ証明書が必ず必要、というわけではありません。必要な書類は、制度、被害の内容、申告方法によって変わります。写真は片付ける前に撮っておくと後で困りません。盗難の場合は、警察へ届け出たことが分かる記録を残してください。

書類を失った場合の確認先

被災で領収書や契約書を失うことは珍しくありません。購入時の資料が手元になくても、販売店や施工業者に再発行を依頼できることがあります。保険金の額は保険会社へ、被害の程度は住所地の市区町村へ問い合わせてください。取得価額が分からない場合にどう計算するかを含め、具体的な取扱いは所轄の税務署へ相談してください。書類がそろわないことを理由に、最初から申告をあきらめる必要はありません。

申告期限の延長・納税の猶予は、税を軽くする制度ではない

災害時には、申告期限の延長や納税の猶予という別の手続きもあります。申告期限の延長には、国税庁長官が地域と期日を指定して自動的に延長される地域指定と、個別に税務署へ申請する個別指定があります。納税の猶予は、災害で財産に相当の損失を受けた場合などに、納める税金の支払いを待ってもらう制度です。どちらも期限や支払いのタイミングに関する制度で、税額そのものを減らすものではありません。雑損控除や災害減免法とは別に考えてください。

確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例は無効になる

雑損控除や災害減免法のために確定申告をすると、その年にふるさと納税のワンストップ特例を申請していても、申請済みの分を含めてすべて無効になります。寄附金控除を受けるには、確定申告書に寄附金の額を記載してください。記載を忘れると、ふるさと納税分の控除を受けられません。一部だけ確定申告に入れ、残りをワンストップのままにすることはできない点にも注意してください。医療費控除など他の控除も、同じ申告書にまとめて記載します。

申告の前に確認すること

  • 損害の原因は何か(災害/盗難/横領/詐欺・恐喝)
  • 詐欺・恐喝ではないか(雑損控除の対象外)
  • 損害を受けた資産は生活に通常必要な資産か
  • 棚卸資産・事業用固定資産等・生活に通常必要でない資産に当たらないか
  • その資産の所有者は誰か(本人/生計を一にする親族)
  • 親族所有の場合、その人のその年の総所得金額等が年分ごとの基準以下か(2026年分は62万円以下、令和7年分は58万円以下、令和6年分以前は48万円以下。収入ではない)
  • 被災直前の時価を基にした損害金額を計算できるか
  • 個々に計算できない場合、合理的な計算方法の要件と資料がそろうか
  • 災害関連支出はいくらか(取壊し・除去費用など)
  • 盗難・横領に関連したやむを得ない支出はいくらか(計算方法②には使えない)
  • シロアリの場合、駆除・修繕と予防の費用を分けられるか
  • 保険金・共済金・損害賠償金はいくら受け取ったか(受け取る見込みを含む)
  • 保険金をまず損害金額から差し引き、超えた分だけを関連支出から差し引いたか
  • 同じ保険金を二重に差し引いていないか
  • 義援金・見舞金・支援金の性質を確認したか(一律に差し引かない)
  • その年の総所得金額等はいくらか
  • 計算方法①と②の両方を計算し、多い方を選んだか
  • 控除額が0円になっていないか(なっていれば災害減免法も確認)
  • 災害の場合、住宅・家財の損害金額が時価の2分の1以上か
  • その年分の所得金額の合計額は1,000万円以下か
  • 災害減免法の軽減割合の境界(500万円・750万円・1,000万円)を正しく当てはめたか
  • 雑損控除と災害減免法を、控除額と軽減税額でなく税額で比べたか
  • その年に控除し切れない損失があるか(繰越の要否)
  • 繰り越す場合、連続して確定申告書を提出する準備があるか
  • 通常の3年か、特定非常災害の5年か
  • 申告期限の延長・納税の猶予が必要か(税額を減らす手続きとは別)
  • 源泉所得税の徴収猶予・還付を先に受けるか
  • 写真・領収書・保険金関係書類・罹災証明書等がそろうか
  • その年にふるさと納税のワンストップ特例を申請していないか
  • 個人住民税の減免は別に申請が必要か(住所地の市区町村)

最終確認先は所轄の税務署です。損害金額の計算方法、対象になる資産かどうか、必要な書類は個別の事情で変わります。個人住民税の減免・猶予は住所地の市区町村、保険金の額は保険会社、被害の程度の証明は市区町村へ確認してください。

よくある質問

雑損控除と災害減免法はどちらを選べばよいですか

まず原因を確認してください。盗難・横領なら雑損控除だけです。災害の場合は両方が候補になりますが、同じ損害に重ねては使えません。選ぶときは、それぞれを適用して所得税額を計算し、実際に納める税額で比べてください。控除額と軽減税額をそのまま大小で比べるのは誤りです。あわせて、雑損控除には繰越と個人住民税への反映があり、災害減免法にはどちらもない点も判断材料になります。

盗難でも災害減免法を使えますか

使えません。災害減免法の対象は災害による住宅・家財の損害だけです。盗難や横領の被害では、雑損控除だけを検討することになります。逆に雑損控除は災害・盗難・横領のいずれも対象です。

詐欺の被害は控除できますか

できません。詐欺や恐喝による損失は雑損控除の対象外です。盗難や横領は本人の意思と関係なく財産が失われるのに対し、詐欺・恐喝はだまされたり脅されたりした結果であっても本人が財産を渡す行為をしているためです。オレオレ詐欺や投資詐欺の被害も同じ扱いです。

雑損控除の計算方法は2つあると聞きました

2つあります。方法①は「差引損失額 − 総所得金額等 × 10%」、方法②は「災害関連支出(保険金等を差し引いた後)− 5万円」で、多い方が雑損控除額になります。差引損失額は「損害金額+災害等関連支出 − 保険金等」です。どちらか一方だけを計算して終わりにせず、両方を計算してください。

「災害等関連支出」と「災害関連支出」は同じですか

違います。災害等関連支出は、災害関連支出と、盗難・横領に関連したやむを得ない支出を合わせた呼び方です。計算方法②で使えるのは災害関連支出だけで、盗難・横領の関連支出は含められません。方法①の差引損失額には、どちらも含まれます。名前が似ているため取り違えが起きやすい部分です。

保険金はどこから差し引きますか

まず損害金額から差し引きます。保険金等が損害金額を超える場合に、その超える部分を災害等関連支出から差し引きます。同じ保険金を損害金額と関連支出の両方からそれぞれ差し引くことはしません。二重に差し引くと控除額が実際より小さくなります。充当しきれずに余った保険金は、差し引く先がないのでどこからも差し引きません。

保険金がまだ確定していない場合はどうしますか

受け取る見込みの金額を見積もって差し引いて計算します。後で実際の金額が見積もりと違った場合は、修正申告や更正の請求で調整することになります。金額が大きく変わりそうな場合は、申告前に所轄の税務署へ相談してください。

義援金や見舞金も差し引くのですか

一律に差し引くものではありません。差し引くのは損害を補填するものとして受け取る金額です。地方公共団体などから受け取る義援金のように、損害の補填を目的としないものは、差し引く補填金には含まれないとされています。社会通念上相当と認められる見舞金や、被災者生活再建支援金のように法令で非課税とされている給付もあります。名目ではなく趣旨で判断されるため、受け取った金銭が多い場合は税務署へ確認してください。

損害金額はどう計算しますか

損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基に計算します。購入したときの価格をそのまま使うことはできません。修理費を支払った場合も、その金額がそのまま損害金額になるわけではありません。住宅の主要構造部に損壊があり個々に計算するのが難しい場合は、取得価額から減価償却費を差し引いた金額に被害割合を掛けるなどの「損失額の合理的な計算方法」を使えます。

購入時の書類がありません

販売店や施工業者に再発行を依頼できることがあります。合理的な計算方法では取得時期と取得価額が必要になるため、まずは手元の資料を探してください。それでも分からない場合の取扱いは、所轄の税務署へ相談してください。書類がそろわないことを理由に、最初から申告をあきらめる必要はありません。

シロアリの駆除費用は対象ですか

駆除や被害部分の修繕にかかった費用は対象になります。シロアリによる被害は、害虫その他の生物による異常な災害に当たるとされているためです。一方、被害を防ぐための予防費用と、駆除とあわせて行う予防のための費用は対象になりません。駆除と予防をまとめて依頼した場合は、見積書や領収書で分けて記載してもらってください。

別荘や貴金属の損害も対象ですか

対象になりません。別荘のように主として趣味・娯楽・保養・鑑賞のために持っている不動産、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・書画・骨とう、ゴルフ会員権などは「生活に通常必要でない資産」に当たるためです。雑損控除の対象になるのは、棚卸資産でも事業用固定資産等でも生活に通常必要でない資産でもない資産です。

店舗や商品の損害はどうなりますか

雑損控除では扱いません。棚卸資産(商品・製品など)や事業用の固定資産等の損失は、事業所得などの必要経費として処理します。自宅の一部を店舗にしているような場合、生活用の部分と事業用の部分で扱いが分かれます。区分の方法は所轄の税務署へ確認してください。

家族名義の家財も対象になりますか

なることがあります。納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族が所有する資産で、その人のその年の総所得金額等が年分ごとの基準以下であれば対象になります。基準は令和2年分から令和6年分が48万円以下、令和7年分が58万円以下、令和8年分(2026年分)以後が62万円以下です。判定するのは収入ではなく総所得金額等なので、給与だけの人なら給与所得控除を差し引いた後の金額で見ます。生計を一にしていない親族の資産は対象になりません。

2026年分の親族の所得要件はいくらですか

総所得金額等が62万円以下であることが要件です。これは令和8年12月1日施行の改正によるもので、令和8年分(2026年分)以後の所得税に適用されます。令和7年分は58万円以下、令和2年分から令和6年分は48万円以下でした。2026年分の申告で48万円や58万円の基準を使わないでください。過去の年分について申告し直す場合は、その年分の基準で判定します。この年分別の基準は、雑損控除でも災害減免法の住宅・家財の所有者でも同じです。施行日より前に死亡または出国して準確定申告を行った場合など、適用関係が通常と異なることがあるため、該当しそうな場合は国税庁の令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&Aと税務署で確認してください。

災害減免法の所得要件と親族の所得要件は同じですか

別のものです。親族の所得要件は、対象になる住宅・家財を所有している配偶者やその他の親族についてのもので、総所得金額等が年分ごとの基準(令和8年分以後は62万円以下)であることを求めます。一方、災害減免法の「所得金額の合計額1,000万円以下」は、控除を受ける納税者本人についての要件です。見る人も金額も違うので取り違えないでください。なお、住宅・家財の所有者の範囲は雑損控除と災害減免法で同じです。

雑損控除額が0円になることはありますか

あります。計算方法①も②も0未満になる場合、雑損控除額は0円です。保険金で損害がほぼ補填された場合や、総所得金額等が大きく「総所得金額等×10%」が損失額を上回る場合に起こります。マイナスの控除額を申告することはできません。この場合でも、災害による損害であれば災害減免法が使える可能性があるので確認してください。

その年に引き切れない損失はどうなりますか

引き切れない金額(雑損失の金額)を翌年以後3年間繰り越して、各年の所得金額から控除できます。東日本大震災による損失、および令和5年4月1日以後に発生した特定非常災害による損失については、繰越期間が5年間になります。災害減免法には繰越の仕組みがないため、損失が大きい場合は雑損控除の方が有利になることがあります。

繰越を使うには毎年申告が必要ですか

必要です。損失が生じた年分の確定申告書を提出したうえで、その後も連続して確定申告書を提出する必要があります。翌年に納める税金がない年でも、繰越を続けるためには申告書を出してください。年末調整だけで済ませて申告書を出さない年があると、繰越が使えなくなることがあります。

災害減免法の条件を教えてください

災害によって受けた住宅または家財の損害金額(保険金などで補填される金額を差し引いた後)が、その時価の2分の1以上であり、かつ、その年分の所得金額の合計額が1,000万円以下であることです。損害割合はちょうど2分の1でも該当します。軽減・免除される所得税額は、所得金額の合計額が500万円以下なら全額、500万円超750万円以下なら2分の1、750万円超1,000万円以下なら4分の1です。

所得が750万円ちょうどの場合はどちらですか

「500万円超750万円以下」に当たるので、軽減されるのは所得税額の2分の1です。750万円を1円でも超えると「750万円超1,000万円以下」となり4分の1になります。同様に1,000万円ちょうどなら4分の1、1,000万円を1円でも超えると災害減免法自体が使えません。境界に近い場合は、所得金額の合計額を先に確定させてから判断してください。

災害減免法を使うと住民税も免除されますか

自動では免除されません。災害減免法は所得税の制度です。個人住民税については、地方税法や各自治体の条例に基づく減免・猶予の制度が別にあり、対象、割合、申請先、期限は自治体ごとに異なります。また、個人住民税にも雑損控除があります。所得税でどちらを選んだ場合に住民税がどうなるかを含めて、住所地の市区町村へ確認してください。

年末調整で手続きできますか

できません。雑損控除も災害減免法も年末調整では受けられず、確定申告が必要です。普段は確定申告をしていない会社員も、この2つを使う年は自分で申告することになります。

被害を受けた年に申告できませんでした

還付を受けるためだけの申告であれば、原則としてその年の翌年1月1日から5年間提出できます。被害を受けた年にすぐ申告できなかった場合でも間に合うことがあります。ただし繰越控除を使う場合は、損失が生じた年分の申告とその後の連続した申告が必要なので、早めに手続きしてください。

罹災証明書は必ず必要ですか

どの手続きでも必ず必要、というわけではありません。罹災証明書は自治体が被害の程度を証明する書類で、住宅の被害区分を示すときに使われます。必要な書類は、制度、被害の内容、申告方法によって変わります。写真、修理・取壊しの領収書、保険金の支払額が分かる書類も損失額の説明に使えます。何が必要かは所轄の税務署と、証明書の発行については住所地の市区町村へ確認してください。

申告期限を延ばしてもらえますか

災害などで申告・納付ができない場合、申告期限の延長を受けられることがあります。国税庁長官が地域と期日を指定して自動的に延長される地域指定と、個別に所轄の税務署へ申請する個別指定があります。ただし、期限の延長は税額を減らす制度ではありません。雑損控除や災害減免法を使うには、別に申告が必要です。納める税金の支払いを待ってもらう納税の猶予も、これらとは別の制度です。

確定申告を待たずに手当てできますか

給与や公的年金等の支払を受ける人が災害により被害を受けた場合、源泉所得税および復興特別所得税の徴収猶予や還付を先に受けられる仕組みがあります。徴収猶予は給与などの支払者を経由して、還付は住所地の税務署へ申請書を提出します。この仕組みを使った場合、その年の年末調整は行われず、最終的には確定申告で精算します。申告が不要になるわけではありません。

ふるさと納税のワンストップ特例はどうなりますか

無効になります。雑損控除や災害減免法のために確定申告をすると、その年に申請済みのワンストップ特例はすべて無効になります。寄附金控除を受けるには、確定申告書に寄附金の額を記載してください。一部だけ確定申告に入れ、残りをワンストップのままにすることはできません。医療費控除など他の控除も同じ申告書にまとめて記載します。

サイトの税額ツールで判定できますか

できません。このサイトの「ざっくり所得税・住民税」は、入力した所得控除の合計から所得税と住民税所得割を概算するだけのツールです。雑損控除の2つの計算方法の比較、災害減免法の判定、雑損失の繰越は自動で扱いません。雑損控除額を自分で計算したうえで、所得税用・住民税用の所得控除の合計に含めて入力してください。災害減免法は税額から差し引く制度なので、このツールの結果には反映されません。

国税庁|確認日 2026.09.19公式サイトで確認 ↗
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